「転落」の防⽌:②階段の勾配と蹴上げ・踏み⾯寸法について

階段の勾配蹴上げ・踏み⾯寸法は、密接な関係にあります。

これらの数値は、計画の段階で、階⾼や階段の位置により、勾配がほぼ決まり、その後の詳細設計で、蹴上げ・踏み⾯寸法が決められ、勾配も確定するという順序で決まることが多いと思われます。

<勾配>

勾配については、急なものよりも緩い⽅が危険性が少ないのですが、緩すぎてもスペースを取り過ぎる等のマイナス⾯もあります。

そこで勾配については、次の⼆つの点を考慮することとなっています。

  • 昇る場合と降りる場合とで条件が異なるという点
  • 階段が設置される場所により目的や条件が⼤きく異なるという点

⼀般に降りる場合の⽅が緩い勾配が適するといわれています。
避難階段など、避難時(降りる⽅向への避難)使⽤を主体に考える階段においては、勾配を抑えて考える必要があるということです。

また、階段が設置される場所については、その要求される条件は様々ですが、⼤きくは住居内とそれ以外の場合に分けて考えます。
素⾜かそれに近い状態での昇降と、靴を履いての昇降では、⼀般には後者の⽅が緩い勾配が要求されることとなります。

そして、勾配の角度は、30〜35度が最適とされています。
勿論、住居内では梯⼦に近い勾配の階段もあります。
(法規では住居内では56度の急勾配まで許されているようです。)

<蹴上げ・踏み⾯寸法>

蹴上げ・踏み⾯寸法については、法規上の規定(建築基準法施⾏令23条他)をはじめ、いろいろの関係式が⽰されています。
これらの基準を外れれば、昇降しにくいだけでなく、安全上も問題があると考えられますが、ではそれらを満たせば問題がないかというと、そうでもありません。
勾配と組み合わせて、検討する必要があります。

また、以下のような考慮事項も指摘されています。

  • 踏み⾯寸法は安⼼して⾜が載せられるだけの⼗分な寸法があること。
  • 蹴上げ寸法に狂いがあると、そこで昇降のリズムが崩されるので危険であること。
  • 最上段・最下段の蹴上げは、その階の最終的な仕上げ厚などにより狂わないようにすること。

⾼齢になると、最適に設計された階段でも、⾜運びのリズムが狂うことがあります。
これは設計者の責任ではありませんが、“階段昇降時の踏み外し・つまずき” は、安全上の要注意ポイントとなります。
これらへの対応は、各⾃の⾃覚、つまり「ユックリ昇降」ということになるのでしょうか−−