窓ガラスの清掃において、窓の開閉をしていて足を滑らし墜落した災害事例

<災害事例(業界関係書籍より)>

窓ガラスの清掃作業において、ベランダのパラペットに乗りガラス窓を開閉中、足を滑らせ19メートル落下した事例。
(全身打撲により死亡)

ビルの外面の清掃は、ゴンドラ使用が原則ですが、いろいろな状況によりできない場合があります。
ブランコという屋上からロープを垂らしての作業ということになります。
また、窓に身を乗り出しての作業を行う場合もあります。
このような作業の場合、墜落制止用器具ハーネス型安全帯の使用が不可欠となります。
(ゴンドラ作業においては、安全帯は必須です)
※安全帯は「墜落制止用器具」に法改正(2019年2月)されています(下記)

墜落制止用器具を使用する場合、親綱を張る等の下準備が必要となりますが、ビルでの作業では確実なフックの取付けで苦労するケースも多いと思います。
十分な事前調査・準備・検討が必要です。

また、墜落制止用器具の使用に際しても、事前準備をしておかないと、器具の機能を有効に活用できない場合があります。

因みに以前の胴ベルト型安全帯の使用において、取り付け高さ(身体取り付け位置からの高さ)と身体への衝撃荷重として下記のような表(ロープ長さ1.3mの場合)が示されています。

取付け高さ(m) 1.0 0.80.60.40.2 0-0.2-0.4-0.6-0.8-1.0-1.2
 落下距離(m) 0.30.50.70.91.11.31.51.71.92.12.32.5
 衝撃荷重(kgf) 173224265300332 361387412436458480500

墜落制止用器具の使用においても、できるだけ落下距離は短くしたいものです。

胴ベルト型安全帯の場合、衝撃荷重が腹部に集中し、内臓破裂や脊髄骨折という重大な結果を招くことがあります。
安全帯の墜落防止時の衝撃吸収性は、「8kN(ニートン):約800kgf」が基準とされているとのことですが、もちろん人体の部位によってはこれよりも少ない衝撃荷重での災害も報告されています。
また、落下時の脊椎へのダメージを抑えるため、ベルトの吊り位置は、体側あるいは斜め後ろとするようにします。
もし落下して安全帯にぶら下がっている状態が発生している場合は、内臓への加圧を考慮して一刻も早い救助が必要とされています。

法規改正により、フルハーネス型の使用が原則となっています。
『墜落制止用器具について』