ガス設備関係(災害・事故・トラブル)

ガス爆発事故は、発生すると人身事故と 建築物の破壊を伴い、被害が大きくなる傾向がある。
建築物に止まらず、周辺地域へも被害が及ぶこともある。
(引用事例は古いものですが、ガス爆発の実態を理解することができます)

ガス体と空気との混合比率により、爆発限界の濃度の範囲内で、着火により爆発する。
その爆発力は、状況により異なるが、一般的に5t/㎡にも達する。

なお、屋内に設置するガス湯沸器、風呂釜などの設置工事は、「特定ガス消費機器の設置工事の監督に関する法律」に基づき有資格者が適正に施行し、表示を行う必要がある。

マンション6階の住戸で爆発事故

死亡2名、負傷者19名、全焼16戸、その他被害は約80戸。
11階建のマンション(373戸)の6階の住戸で発生したガス爆発で火災が発生、防火区画の破壊により被害が広がった。
また、爆発によりガス管の破損を生じ、多量のガスが噴出したため、被害は極端に大きくなったものと推定されている。
<ガスの安全対策の構造基準ができる前の昭和50年(1975年)の事故>

マンション11階の住戸で爆発事故

死亡1名、負傷者3名、全壊隣接住戸2戸、半壊3戸、ガラス窓などの破損24戸、50~60m 範囲の住宅の窓ガラスなどの破損13戸、自動車ガラス18台破損。
11階建のマンション(182戸)の最上階の住戸で発生したガス爆発で、天井裏は大穴が開き、床は10cm程度下がって鉄筋が露出、住戸界壁は反対側に7cm程度湾曲したが、火災発生はなかった。
<本建築物は、完了検査が昭和55年(1980年)10月であり、ガスの安全対策の構造基準ができる前のものであったため、ガス栓の過流出安全弁(ヒューズコック)は取り付けられていなかった。>

複合ビルの改修工事中のガス爆発事故

地上13階地下1階建の既存複合ビルの改修工事現場でガス爆発が発生し、1階から3階にかけて被害が発生したもの。
原因は、洩れた都市ガスに改修工事の溶接作業の火花が引火して爆発したもので、スプリンクラーの工事業者が、スプリンクラーの管と都市ガスの管を間違えて、都市ガスの管に穴を開けてしまったため。
このため、都市ガスが洩れ、溶接の火花に引火したものと思われる。
ガスが供給されているにもかかわらず管に穴を開けてしまったことが事故に繋がったものと想定される。
<被害は、工事関係者、通行人の計37名で、うち7名が重傷、1階の800m²が火災で焼失>

From「建築設備士更新講習テキスト2000版」

雑居ビルガス爆発事故

2023年7月東京都港区新橋の8階建てビルでガス爆発事故が発生。
4人が重軽傷を負った。
事故の原因は、3階のガス配管の接続部よりの漏れが原因。
2階のカフェバーの店員がタバコの火をつけたところ、爆発事故が起きた。
前日に3階の空き店舗の内装工事を実施しており、水道管の撤去工事等をしていたとき、作業員がガス管の一部に触れたということが警察の調べで分かっている。
また、爆発前にはビル内で異臭が充満していたとのこと。

--捜査関係者への取材で、3階で午前中に作業をしていた内装業者が「ガス管のふたの部分が出っ張っていて、取ろうと思って回したら接続部分がずれた」と警視庁に話していることが新たに分かったとのこと。

*市民防災研究所によると
「都市ガスは空気よりも軽い。漏れればどちらかというと、上からたまっていくが、部屋が密閉されていて、ガスが充満して出続けていて、床に穴が開いていたら下に漏れることは十分に考えられる」とのこと。
*内装工業を請け負った会社の社長によると
「(ガス管と水道管は)同じ材質。外目からはパイプ自体は見分け付かない」
「今は見分け付くんですけど、昔だったら同じような形状の管」
--ビルは1971年に建てられ、築年数は50年を超えている

ビル内在住者は、異臭時には、ガスの漏洩等を疑い、ガス爆発を想起し「火気使用厳禁」という認識を持つべきです。
(類似災害防止のためにも注意したいところです)
この事故については、(まだ原因は確定されていないようですが)、内装工事業者においては、従業員への工事上の指導が強く望まれるところです

また、当該ビルの管理者も、工事時の注意喚起という認識がなかったのではとも考えられますが--。

<c.f.>ガス爆発事故について