「中⼩企業庁BCP策定運⽤指針」の概略

「中⼩企業庁BCP策定運⽤指針」においては、予防策だけでなく、起きたときにどうするか、その後如何に立ち直るか、ということについての検討事項が記されています。

「BCP」の策定⼿順及び検討事項(概要)には、下記が示されています。

Ⅰ 基本⽅針の⽴案

 <何のためにやるのか>

  • 経営者が関与して(主体となって)規定した事業継続の基本⽅針か?
  • 何のためにBCPを策定するのか(作成の目的は)?
    --⼈の命を守るため
    --従業員の雇⽤を守るため
    --供給責任を果たし、顧客からの信⽤を守るため
    --地域経済の活⼒を守るため

Ⅱ 重要サービス(商品)の検討

 <何をやり、何をやらないのか?(やらないことを決める)>

  • 中核となる事業及びその重要業務は何か?
  • 中核事業に係る情報は整理されているか?
  • 中核事業及び重要業務を継続するために必要な資源(ボトルネック資源:⼈、物、⾦、情報等)は?
    --事業継続に係る各種資源の代替の存在は---

Ⅲ 被害状況の評価

 <今のままだと、どういう状況になるのか?>

  • 中核事業が影響を受けると考えられる災害は?
    ⇒災害がその事業にどのような影響を与えるか?
    (事業影響度分析:ビジネスインパクト分析)
    --今のままだと、どういう状況になるのか?
  • 中核事業の継続に必要な資源に与える影響は?
  • 中核事業と復旧目標
    --中核事業の目標復旧時間はどの程度を想定するか?
    --中核事業に係る情報について
    --事業継続に係る各種資源の代替の情報等について

Ⅳ 事前対策の検討・実施

 <どう準備・改善し、どう実施するのか?>

  • 安否確認等の手順の検討
  • 要員確保の検討
  • 建築物の耐震性等の事前対策
  • 設備機器類の固定等の事前対策
  • 災害時に必要な備品の準備・備蓄
    --災害対応用具チェックリスト他
  • 中核事業に係るボトルネック資源についての検討
    --中核事業に必要な供給品目情報
    --主要供給者/業者情報【供給品目別】
  • 代替方法(サービス・製造)の事前検討
  • 重要データの保管
  • 資金面での検討
    --財務状況を分析
    (復旧費用の算定・手元資金他)
    --事前対策計画
  • 事前対策のための投資計画
  • 復旧手順の事前検討

Ⅴ 緊急時の体制の整備

 <誰が何をやるのか>

  • BCPの策定・運⽤体制は?
  • 管理体制の整備、連絡網等を構築
  • 緊急時におけるBCP 発動
    --発動フロー
    --避難計画
  • 情報連絡
    --主要組織の連絡先
    --従業員連絡先
    --情報通信⼿段の情報
    --主要顧客情報

Ⅵ BCPの定着

 <関係者(社員)への徹底>

  • 平時の順次対応
  • 社員等への周知&対応教育・訓練

Ⅶ BCPの見直し

 <定期的・継続的な見直し>

  • 経営者による定期的・継続的な改善見直し
  • PDCAサイクル(マネジメントサイクル)の形成

BCPは企業経営の延⻑線上にある(あらゆる経営改善との接点がある)ものといえます。
経営トップが真剣に向き合わなければ、⽂書類の作成だけの「絵に描いた餅」となりかねません。
本質を理解しないで、BCPの文書だけを整えることを目的とすると、BCPの作成過程における様々な検討による“経営上のメリット”を享受することができないばかりか、経営の負担になるようなことが起こりかねません。
--きれいな文書を整えても、経営者をはじめ、組織全体にその内容が伝えられ理解されなければ、結局は使いものになりません。
このような状況では、いざという時に役立たないBCP文書を手間暇かけて維持していくことになってしまいます。