「FCP:建物内の設備・備品の固定等②」<14>

災害等において、「(自分も含めて)関係する人たちの命が救われること、及び負傷しないこと」は最優先ですが、事前対策として「被災後の生活」についても検討しておく必要があります。

各事業場においては、災害時のリスクマネジメントとして、中小企業庁から「中⼩企業BCP策定運⽤指針」が示されています。
そこには、災害等に遭遇して「事業を如何に継続していくのか?」という課題に対して、事業継続計画(BCP)の作成という方策が示されています。

この指針に示されている内容は、「災害への対応」「被災後の私たちの生活」を検討するうえにおいても参考となる事項が多くあります。
そこで、“生活の継続”という視点で、この指針の内容を検討してみるのも意味のあることと考えます。
(いわば「FCP:Family Continuity Plan」への“試考”といえます)

前号は、「事前対策」における「建物内の安全対策」としての「設備・備品の固定等」についてでした。
今回も引き続き「設備・備品の固定等」について考えてみたいと思います。

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先月に続いて、「地震時における家具等の転倒等の防止対策」と関連して

転倒危険性の判定(安定・不安定の判定)

転倒についての判定式の一例が文献(中災防「現場の地震防災力を高める」)に載っています。

家具(高さH、奥行きD、幅W)を想定した場合
 B÷√H が
4より小さい場合は倒れる 4より大きい場合は倒れない
(ただし、BはWとDの小さい方の数値)


大まかな転倒防止の判定基準とすることができます。
1台で転倒すると判定した場合、単体を背中合わせに連結して、奥行きDを大きくして、転倒を防ぐという方法も示されています。

震度6以上の地震を想定し、それに耐えることができる対策が必要
  • 重い家具等は数m程度大きく移動或いは転倒する
    --基礎部/天井/壁への固定(倒壊補強対策)
    --キャスターが付いている機器はチェーン等により固定
  • 高所にある家具/備品等は落下する
    --金具/チェーン等による脱落防止、揺れ止め
    --ネットの設置による被害軽減
    (屋根材、天井材の落下防止も含まれる)
  • その他設備機器も破損/落下する
    --水道管/ガス管等の接続部の破損等
    (水道管経路が高所にあれば、水漏れによる被害も考えられる)
    (ガス漏れ、灯油等の流出による爆発危険も考えられる)

震度6:地震加速度:水平加速度400cm/s2:鉛直加速度200cm/s2 に相当
--ハザードマップによる想定震度の確認
(軟弱地盤地域においては、液状化による建築物の倒壊の可能性を想定考慮)

その他にも「転倒防止」「滑り防止」「落下防止」「避難通路設定」「出火・拡大防止」「危険物等の漏洩防止」等について、個々のケースで検討を加えておく必要があります。

レジリエンス『先ずは生き延びることへの柔軟対応』

★『釜石の軌跡 三原則』
 --鵜住居小学校の避難例
①想定にとらわれるな
②最善を尽くせ
③率先し、避難せよ


★『想定外に備える』
 --南三陸町立戸倉小学校元校長 麻生川敦氏講演より
  (東日本大震災時、子供たちの避難指揮をとった震災当時の校長)
①想定外が起こり得る覚悟をもつ。
②想定外の判断を行う目を持つ。
③臨機応変に対応する力を上げる。

(この拙いブログは、まだ災害について十分な実感を持てない筆者自身への「災害意識の駆り立て」でもあり、また「なかなか災害行動へと結びつかない焦り」でもありますが、何か皆様のFCPを考えるうえでのきっかけともなれば幸いに存じます。)