「FCP:建物内の避難について」<15>

災害等において、「(自分も含めて)関係する人たちの命が救われること、及び負傷しないこと」は最優先ですが、事前対策として「被災後の生活」についても検討しておく必要があります。

各事業場においては、災害時のリスクマネジメントとして、中小企業庁から「中⼩企業BCP策定運⽤指針」が示されています。
そこには、災害等に遭遇して「事業を如何に継続していくのか?」という課題に対して、事業継続計画(BCP)の作成という方策が示されています。

この指針に示されている内容は、「災害への対応」「被災後の私たちの生活」を検討するうえにおいても参考となる事項が多くあります。
そこで、“生活の継続”という視点で、この指針の内容を検討してみるのも意味のあることと考えます。
(いわば「FCP:Family Continuity Plan」への“試考”といえます)

前号は、「事前対策」における「建物内の安全対策」としての「設備・備品の固定等」についてでした。
今回は「建物内の避難」について考えてみたいと思います。


引用させていただいている「イツモノート」に
「地震の瞬間は何もできない。立ちつくす、あるいは座り込む--」
と書かれています
まさにそのとおりだろうと想像しますが--
ではその次のにはどのように行動したらよいのか--
『屋内から安全な場所への避難』ということになると思われます。

この屋内避難においても、多くの資料が挙げられています

避難時の心構えとして

  • 「揺れを感じたら」「緊急地震速報を聞いたら」避難行動に移る
  • 避難時は「頭と足元」の保護に注意
    頭の保護として、布団をかぶる
    (地震と思った瞬間、家具等が倒れてくる前に布団をかぶる)
    (寝るときは、枕元に座布団を置いておくと、外に出るとき頭にかぶり、ヘルメットの代用とできる)
  • ---

前回も触れましたが、地震が起きた直後は、倒れた家具や家電製品で下敷きになるなどで、多くの人が家の中でケガをしています。

「安全ゾーン」への避難

  • 特に、夜間の地震においては、停電が考えらる。
    イツモノートに出てくる「静まりかえった真っ暗な世界」の現出となります。
    そして、「ガラスが飛び散っているだろう状況で明かりなしでは動けなかった」とあります
  • 避難ルートに懐中電灯を置いておくとよい。
    (真っ暗では、住み慣れた自宅でも、距離方向が掴めない!)
    --懐中電灯には「蓄光テープ」を貼る、足元には「充電式の足元ライト」等がある。

夜間、枕元に「防災カゴ」を置いて、その中に避難に必要な物を入れておくことを習慣とするという提案もなされています。

「安全ゾーン(屋内避難においての向かう先)」について

  • 「安全ゾーン(家屋内の避難場所)」の設定
    構造的に頑丈で、転倒落下物が少なく、閉じ込められる危険性の少ない場所を安全ゾーンとして事前に認識しておくことが大切です。
    まず外部への避難ができる「玄関」が挙げられます。
    (玄関以外でも外部に避難できる場所があれば、そこも安全ゾーンとして考えられます)
    (揺れで移動の余裕がなければ、丈夫なテーブルの下も臨時的に安全ゾーンと考えることができます)
  • そして、玄関までのルートとしての「避難経路」を考えることになります。
    (階段周り、トイレも構造的に丈夫なため、家屋内における一時的安全ゾーンとして考えられていましたが、最近のユニット式トイレはドアが変形すると閉じ込められる恐れがあるそうです。)
  • ここで注意しておきたいのが「ドアの開閉」です。
    安全ゾーンにたどり着いたら、まずドアを開けて外部下の避難口を確保しておく必要があります。
    (強い揺れで“ドア部分は変形”し、ドアを開くことができず、閉じ込められてしまうという事態も想定されます)
    ドアを開けたら、ドアガード立てたり、サムターンを回したりして、ドアが閉まってしまわないようにしておく必要があります。
    (余震の発生が考えられます)
    --このドアの開閉にについては、屋内ドアにおいても同じように考える必要があります。
  • そして、日常においても「玄関等安全ゾーンのケア」が大切です。
    玄関には落下物を少なくし、履きやすい靴を用意しておくことに注意
    (外部に出てケガをしないためにも靴を履くことは必要)
    非常持ち出し袋やライトも玄関に置いておくと持ち出しに便利です。

以上から
安全ゾーンへの避難ルートの事前検討(家屋内各室からの避難についての検討)として、以下の準備が考えられます
→避難ルート上の障害物の確認、整理。
→避難ルート上に、足元保護のスリッパ・靴、頭保護用のクッション等を置いておく。

地震後の行動で特に注意したいのが、“割れたガラス”によるケガです。

また「室内個々の場所における地震時のシチュエーションを考えておく」ということも必要です。

例えば

  • 調理時(火気使用中)の地震--火を消すことができるか?等
    避難時の火災等への配慮
    ブレーカーを落とす
    ガス使用設備等の燃料の供給遮断
    もし危険有害物がある場合は、その漏洩防止措置
  • 2階に居るときの地震--階段を降りられるか?等
  • 貴重品を取りにいくか?
    --「命捨てるな!物捨てよ!」 明快な提言です。

そして、屋内だけでなく日常の行動領域においても考察を広げることができます。
 「自動車を運転しているとき」
 「地下部分にいるとき」
 「会社で仕事をしているとき」
 「道路を歩いているとき」
 --何時? どこで? 何をしているとき?---

でき得れば、日常における避難想定・訓練の実施(企業における避難訓練に同じ)が望ましい!
災害発生時の対応行動は、日常訓練(想定等も含めて)の応用を瞬時に迫られることになります。
実際はその想定通りに事が運ぶことはまずないのですが、発生時の心構えが違う(少しの余裕となる)ことになります。

なお当FCPにおける検討は、主に一戸建て、或いはマンションにおける住居専用部分を想定しています
マンション(特に高層マンション)における共用部分へ出てからの地上(或いは避難階)への避難については、エレベーターの使用禁止、避難階段の使用等日頃からの避難経路の確認・維持が必要です。
また、避難訓練等において、活動のマンネリ化も考えられますが、検討を深めることで新たな視点が見えてくることもあろうかと思います。


レジリエンス『先ずは生き延びることへの柔軟対応』

★『釜石の軌跡 三原則』
 --鵜住居小学校の避難例
①想定にとらわれるな
②最善を尽くせ
③率先し、避難せよ


★『想定外に備える』
 --南三陸町立戸倉小学校元校長 麻生川敦氏講演より
  (東日本大震災時、子供たちの避難指揮をとった震災当時の校長)
①想定外が起こり得る覚悟をもつ。
②想定外の判断を行う目を持つ。
③臨機応変に対応する力を上げる。

(この拙いブログは、まだ災害について十分な実感を持てない筆者自身への「災害意識の駆り立て」でもあり、また「なかなか災害行動へと結びつかない焦り」でもありますが、何か皆様のFCPを考えるうえでのきっかけともなれば幸いに存じます。)