「FCP:備蓄③(非常持ち出し品)」<20>

災害等において、「(自分も含めて)関係する人たちの命が救われること、及び負傷しないこと」は最優先ですが、事前対策として「被災後の生活」についても検討しておく必要があります。

各事業場においては、災害時のリスクマネジメントとして、中小企業庁から「中⼩企業BCP策定運⽤指針」が示されています。
そこには、災害等に遭遇して「事業を如何に継続していくのか?」という課題に対して、事業継続計画(BCP)の作成という方策が示されています。

この指針に示されている内容は、「災害への対応」「被災後の私たちの生活」を検討するうえにおいても参考となる事項が多くあります。
そこで、“生活の継続”という視点で、この指針の内容を検討してみるのも意味のあることと考えます。
(いわば「FCP:Family Continuity Plan」への“試考”といえます)

前回は、「事前対策」における「備蓄②(日常での備蓄品)」についてでした。
今回は「備蓄③(非常持ち出し品)」について考えてみたいと思います。


『緊急時の非常持ち出し品』として、考慮しておくべき点が多くの文献に示されています。

  • 非常持ち出しは最小限!
    とにかく「非常持ち出し品」を最小限にして、「日常での備蓄品」は活用し易いように確保しておくという二段階対応
  • 非常持ち出し品はリュックサック等にまとめて、咄嗟の時にすぐに持ち出せるように、玄関近くや場合によっては車の中等の分かり易い場所に置いておくこと!
  • 必ずしも自宅で被災するとは限らない!
    外出先で被災することも想定して、いつも持ち歩く鞄の中にも最低限の必要品を用意しておく。
  • 非常持ち出し袋等の重さの目安(避難時の行動性を考慮した目安)は
     成人男性 10~15kg
     成人女性 5~10kg
     小学生  3~5kg

避難直前に非常持ち出し品が見つからないというようなことは避けなければならない。
もしもそのような事態になったときには、非常持ち出し品を探したり、準備するのは絶対に避け、避難を優先すること。
また、避難後、周囲の状況が落ち着くまでの間に、取りに帰るのは危険である。

火災時に、一旦避難していたのに、忘れ物を思い出し、取りに帰って焼死した災害に、若年時遭遇した経験があります。
火災直前まで自分の近くにあった物への親近感が咄嗟の行動へとつながったものと思われます。

前月の「備蓄②日常での備蓄品」において、日常備蓄品を下記のように分類しました。
その中で「非常時の持ち出し品」として考えられる物を赤色で示してみました。参考にしてください。「FCP:備蓄②(日常での備蓄品)」<19>

  • 貴重品等
  • 非常食品
  • 燃料他
  • 生活用品
    • <食事用>
    • <衣類>
    • <衛生用品等>
    • <寝具類>
    • <その他>
  • 防災用品
  • 作業用工具類
  • その他
【車の活用】

車の中に、温度変化に影響されないような非常持ち出し品の一部を入れておくことも提案されています。
次のような物が考えられます
懐中電灯、予備電池、防じんマスク、ロープ、携帯用ミニトイレ、軍手、ヘルメット、地図、寝袋等々
救急箱(車中の気温変化に注意)、水(たびたびの交換が必要)、消火器
また、車に備え付けられている次のようなモノは活用できます
ラジオ、ジャッキ、スペアタイヤ、発煙筒等

車を避難場所として活用することも考えられますが、ガソリンを常時タンク容量の半分以上に確保しておくというような心がけも必要になります。


フェーズフリーという考え方
日常の生活の中で準備しておくという視点です。

日常の生活で使っているものが、もしもの時に役立つ。
--このもしものとき最低限の生活備蓄を、普段の生活の中で、自然に使え、しかも災害の際には役立つようにしておくという考え方です。
このような視点を持って、日常生活全般を考えていくことができれば、スムーズな防災備蓄&防災活動につながるものと思います。

(この拙いブログは、まだ災害について十分な実感を持てない筆者自身への「災害意識の駆り立て」でもあり、また「なかなか災害行動へと結びつかない焦り」でもありますが、何か皆様のFCPを考えるうえでのきっかけともなれば幸いに存じます。)