全盛期を降りるとき

北京オリンピックフィギュアスケート男子シングル
羽生選手は4位でした
フィギュアスケートの世界で “オリンピック二連覇” という大きな偉業を成し遂げていたにもかかわらず、世間は尚苛酷な期待を持ちました。
そして私もまた、「もしかしたら--」との微かな期待を抱いた一人でした。

前半のショートプログラム

鍵山優真選手(18歳)が自己ベストを大幅に更新する108.12をマークして日本勢トップの2位。
宇野昌磨選手(24歳)は105.90点で3位。
羽生結弦選手(27歳)はジャンプでミスが出て8位。

羽生選手は、冒頭に予定していた4回転サルコーで1回転になるミス。
その後は、4回転トーループからの連続ジャンプやトリプルアクセルを成功させて演技をまとめましたが、得点が伸びず95.15で8位でした。

ショートプログラムを終えた羽生選手は、開口一番、
「一番自分がふわふわしている。正直ミスをした感覚がない。悪いことをしたのかな、氷に嫌われるようなことをしたかな、そんな気持ちです」
と話しました。
そして、冒頭で予定していた4回転サルコーを失敗したことについて
「サルコーを飛ぶ瞬間、カーブにさしかかったときに氷に穴があって、ジャンプにならなかった。ちょうどはまってしまった。跳びにはいったが、頭が防衛してしまった。フォームやリズムはよく、疲れもなく余裕なんですが、練習してきたことは正しかったと思う。複雑な心境です。まさか、そんなとこに穴があるなんて思わなかったのでしょうがないです」
と振り返りました。
そしてフリーに向けては
「やってみなきゃ分からないところがあるが、必死になってくらいついていきたい」
と意気込んでいました。
また、注目される4回転半ジャンプへの挑戦について聞かれると
「もちろんやりたい」
と前人未踏の大技への挑戦に意欲を見せていました。
<以上「2022/02/08 NHK記事」>

羽生選手は『ミスった感覚は全くない』とも言っていました。

後半のフリー

羽生選手は、「天と地と」の音楽にあわせて滑り始め、冒頭は狙っていた「4回転半ジャンプ」で転倒。
<このジャンプは、国際スケート連盟の公認大会で史上初めての4回転半ジャンプと認定された>
続く4回転サルコーも転倒。
その後はトリプルアクセルと2回転トーループの連続ジャンプ、3回転フリップはいずれもなめらかに決める。
演技後半、4回転トーループからオイラーを挟んで3回転サルコーにつなぐ連続ジャンプ。
最後のトリプルアクセルも決める。
スピンとステップはすべてレベル4の評価。
羽生結弦選手は演技が終わった後、リンクを離れるとき、そして得点を確認したあと、深々と頭を下げていました。
<以上「2022/02/11 NHK記事」>

演技後、羽生選手は取材に答えた。

「出し切った あれが全てかな  一生懸命頑張りました うまくいかなかったですけど」
 --直後のインタビューでも素直な感情の吐露であったと思います

「正直、全部出し切りました。本当に何も残すことなく最初からギア全開でアクセルも締めることができたと思いますし、成功させにいけましたし、それはもう僕の財産です」
「挑戦しきった、全部出し切ったオリンピックです」

14日に行った会見においても、感謝の言葉と共に、フリーの前日の練習で足首を痛めて痛み止めの注射を打ちながらも4回転半ジャンプに挑んだことを明かしています。
「僕の中ではある意味、納得して満足した4回転半だったと思う」
「これ以上ないくらい 一生懸命頑張りました」
「自分としては、やりきった満足感があります」

1位ネイサン・チェン選手(22歳)、2位鍵山選手(18歳)、3位宇野選手(24歳)、そして4位羽生選手(27歳)

次の時代を示してくれるものとも思われ、ある意味安堵感もあります。

誰にでも“全盛期を降りるとき”はくるもの
世界のトップ選手、特に長年そのトップの座を維持してきた選手が、その敗因について語る言葉には響くモノがあります。

羽生選手は、守りに入らず、「誇りを持って胸を張ってこれからも過ごしていきたい」という今後への姿勢を示してくれました。

素晴らしい業績を達成した人達の言葉には、次のような意味合いの言葉が含まれるといわれます。
 ・自分を信じた
 ・最後まで諦めない
 ・敗因は自分が原因(と受けとめる)