「FCP:FCP作成のメリット③」<37>

これまで拙いながらも、「中⼩企業BCP策定運⽤指針」に沿って、「災害への対応」「被災後の私たちの生活」を“生活の継続”という視点で、「FCP:Family Continuity Plan」として考えてきました。
もう一度動機・目的の部分である「FCPの必要性」について再考して、この一連のFCPに関する記事をまとめたいと思います。


前月に続き当ブログの姉妹サイトの「策定のメリット」に関する記事を引用してみます


「BCP策定により期待される経営上のメリット」について ③

BCPの一次的な目的は「被災後の事業継続を図っていくための経営戦略」といえますが、次のような経営上の課題におけるメリットも挙げられます。(その3)

企業のリスクマネジメントの切り口として、BCPを活用する!
  • SWOT分析の活用等も有効
    --災害やBCPが、企業の強み・弱みに、どのように影響するのか?
  • BCPはあらゆる経営改善と接点がある!
    --「BCPと経営改善は一体」
BCPに取り組むことで、事業承継課題へ向き合うことにもなります。
  • BCPの検討においては、様々な意志決定を求められるようになる
    災害時には様々な意思決定が求められ、社長一人では対応不可能です。
    そのような事態において、社長の機能を代替する意思決定者が必要となります。
    つまり、想定される災害の大きさにもよりますが、必然的に事業承継課題と向き合うことになります。
    そのためには、企業の現状把握、理念等の再確認も必要となります。
    --事業の中核は?という課題:事業目的の再認識&再構築 等々

つまり、BCPは後継者を育成し引き継ぐための“事業承継の一環”と位置付けることもできます。

設備・施設の管理業務は「危機管理」の要素を多分に含みます。
  • 設備管理・施設管理業務は、基本的にBCPと同じ神経回路を使います。
    • 施設の使用不能
    • 関係者の参集不能
    • ライフラインの停止--設備管理業務における重要課題
    • トップ不在
    • 部材部品の停止(関連下請け企業の不備等も同じ)
    • システムの停止(設備の故障等も同じ)
    • ---

「BCPの基本は自らの脆弱性を分析すること(From樋口晴彦氏:警察大学校教授)」と言われます。
企業が自らの脆弱性について分析し、それらを減らすために長期的にどのような対策をとるかということもBCPの一環と理解すべきであると思います。
逆に考えれば、BCPに取り組むことによって、経営課題が改善できるということになります。


リスクマネジメントとしてのBCPの活用が挙げられていますが
FCPにおいても、家族全員がFCPの対象であり、一人ひとりの課題としてのリスクと向き合うことになります。
事業承継というような大きな話ではないにしても、一人ひとりの自覚の問題です。

「BCPの基本は自らの脆弱性を分析すること」という樋口先生の意見は、FCPについても同じです。

BCPにおいては、経営者が日頃から考慮しておかなければならないリスクを「BCPリスク評価表」として、机上等に置いて常時見えるようにしておくことが大切と考えますが、これはFCPにおいても同じです。
常時見えるところに「我が家のリスク」として考えられる項目を掲示しておく(見える化しておく)。
そして、ときおり What-if(もし~だったら?)という問いかけを続けていきます。
問いかけは、SHELモデルで挙げられている要素などが考えられます
--関係する人達、ソフトウエア(手順、マニュアルなど)、ハードウエア(道具、設備など)、周囲の環境状況などについて、思いをめぐらし仮想していきます。
「高齢者だったら?」、「このような手順だったら?」、「道具がなかったら?」、「夜だったら?」、「手伝いの人がいなかったら?」・・・

経営学者の田坂広志先生がツイッターでよいフレーズを与えてくれました
市場や社会が、急速かつ不連続に変化する時代、従来の「山登り」の戦略思考には限界がある。
これから求められるのは、刻々変化する波を乗りこなしていく「波乗り」の思考戦略---


災害への対応においても、準備はコツコツ努力の山登り型、しかし対応は臨機応変の波乗り型ということでしょうか。

この拙いブログは、まだ災害について十分な実感を持てない方向の認知バイアスの強い筆者自身への「災害意識の駆り立て」でもあり、また「なかなか防災行動へと結びつかない焦り」でもあります。
考えることにより、一歩進んだという気持ちになってしまい、現実は何も変わっていないかもしれません。
しかし、何か皆様がFCPを考えるうえでのきっかけになればと妄想しています。
ご誤笑止くださればと存じます。