BMドクターG⑪:まとめる立場<1>

『ビル管理のドクターG』
 ビル管理技術者は「ビルの総合診療医(ドクター・ゼネラル)」?!

 古い「ビル防災」の本を眺めていたら、「ビル管理はビルのお医者さん」という小見出しがありました。
 ビルの設備等の維持管理に関する様々な課題が持ち込まれ、それらをカバーしなければならないビル設備管理技術者は、多岐にわたる建築設備の管理に関する知識と資格をカバーするビル運営を支える存在。
「ビルのお医者さん」という小見出し、なかなか的を射ているように感じました。
NHK-BSで放送されていた『総合診療医ドクターG』を模倣して、「ビル管理(BM)のドクター・ゼネラル」と格好をつけてみました。
その理想像も探りながら話題にしてみたいと思います。

まとめる(統括する)立場としての“BMドクターG”

“BMドクターG(設備管理主任)”は製造業における職長に相応し、労働安全衛生規則40条(労働安全衛生法第60条第3号)で示されている職長教育の内容は、その業務遂行において大いに参考になるのではと考えてきました。
この教育内容は「職長の業務上における問題解決のために期待されている事項」であり、“BMドクターG”においても業務遂行上の指標として活用し得ると考えます。

職長教育講習の内容は、下記の「12項目」+「リスクアセスメント」となっています。

①指導及び教育の方法
②作業中における監督及び指示の方法
③労働者の適正な配置の方法
④作業設備の安全化の方法
⑤環境改善の方法
⑥安全又は衛生のための点検方法
⑦作業手順の定め方
⑧作業方法の改善
⑨異常時における措置
⑩災害発生時における措置
⑪労働災害防止についての関心の保持
⑫労働災害防止についての労働者の創意工夫を引き出す方法

以上各事項について、“BMドクターG(設備管理主任)”の実務と関連付けて、思いつくまま記してみたいと思います。
何らかのヒントとなればと思います。
詳しくは、これをきっかけに、テキストに当たられて、その内容を確認願えたらと思っています。
「職長の安全衛生テキスト」(中央労働災害防止協会)

①指導・教育について

各設備担当者等への教育計画の大筋は会社の方針に従うことになります。
「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」による業者登録要件になっている教育に関する事項もクリアする必要があります。
設備管理関係等の資格取得のためのサポートが必要となる場合もあります。
また設備管理主任としては、業務遂行における各場面へのOJTに当たる機会も多々あると思います。

OJTの機会に関しては、下記のような例示があります。

・始業時、仕事の変わり目
・時間に余裕ができたとき(手待ちなど)
・指示を与えるとき、報告を受けるとき
・職場会議や小集団活動のとき
・仕事について質問してきたとき
・一緒に仕事をするとき

また最近は有効な各種デジタル機器の使用も考えられると思います。

②監督・指示について

部下を持って業務を遂行していくうえで求められる能力について、下記の6つが示されています。

「知識技能の能力」
「状況を総合的に把握・判断し、対応できる問題解決力」
「指導力」
「コミュニケーション能力」
「人を育てる力」
「率先垂範し、ルール違反者には厳しくいさめる実行力」

以上の能力は、言うは易く、その実践は程度の差こそあれ、難しい面も多いと思います。
テキストに上げられた内容を参考に、自分の言動等について日々チェックしていくことになります。

「リーダーシップを生みだす行動と動機」として下記にような理想像が示されています。

①方針、目標を示す。
②何が重要か、自分の考えをハッキリした態度で示す。
③全員の役割分担と責任、権限を明確にする。
④解決を要する問題に集中し、果敢に解決に向けて努力する。
⑤部下全員の参加を求め、一人ひとりの貢献を認め、賞を与え、激励する。
⑥成果に対し感謝の気持ちを表し、チームの成功を全員で分かち合う。
⑦問題解決には部下と一緒に取り組み、建設的な意見を述べる。
⑧自信を持って自己を主張し、粘り強く交渉して相手を動かす。

また、問題解決力の養成として

(1)何が問題かを明らかにする
(2)問題を分析する
(3)対策を考える
(4)対策を実施する

という順序が示されています。

※不具合が起きた場合の対応において、直ちに「教育ができていなかった」「マニュアルが無かった」「○○がミスをしたから」等々の対策事項をミスの原因として片づけないよう注意が必要です。
それらは問題対応策としては間違いではありませんが、人の行動の動機となった内容はもっと違うところにあることも考えられます。
責任追及ではなく、ジックリと当事者の立場を考慮して話しを聞くということが大切と思います。
対応策として考えたことと違うところに原因があるかもしれません。

<以下次号に続く>