災害等において、「(自分も含めて)関係する人たちの命が救われること、及び負傷しないこと」は最優先ですが、事前対策として「被災後の生活」についても検討しておく必要があります。
各事業場においては、災害時のリスクマネジメントとして、中小企業庁から「中⼩企業BCP策定運⽤指針」が示されています。
そこには、災害等に遭遇して「事業を如何に継続していくのか?」という課題に対して、事業継続計画(BCP)の作成という方策が示されています。
この指針に示されている内容は、「災害への対応」「被災後の私たちの生活」を検討するうえにおいても参考となる事項が多くあります。
そこで、“生活の継続”という視点で、この指針の内容を検討してみるのも意味のあることと考えます。
(いわば「FCP:Family Continuity Plan」への“試考”といえます)
前回は、「事前対策」における「ライフラインの停止」についてでした。
今回は「備蓄①(避難への準備)」について考えてみたいと思います。
「ライフラインの停止」でも考察しましたが、災害時には水や電気が供給されず、食料や燃料なども手に入らなくなります。
これらを想定して「備蓄」について検討しておく必要があります。
また、緊急時に備えた必要最低限の「非常持ち出し品」も準備しておく必要があります。
避難してからの数日間の、救助物資か来るまでの生活備蓄です。
(避難生活の段階については、別の考察が必要となります。)
いつも参考とさせていただいているイツモノートにも、備蓄について、下記のような経験にもとづくヒントが書かれています。
<食べ物>
「三日分の蓄えがあるとないとで命の分かれ目といってもいいかもしれません。
缶詰、レトルト食品、無洗米、よく言われている備蓄品でいいんです。
蓄えておくと違います。」
対応例
- 買いだめをしておく
- 食料庫を作った
- 缶切りの要らない缶詰が便利
- 電気ポットで野菜をしゃぶしゃぶ
<衣類>
「衣類も取り出せなくなったり、火災などで焼失したりします。」
対応例
- 非常持ち出し袋に衣類を入れる(春夏2回入れ替える)
- 下着類をタオルなどでまかなう
- サイズの合うものは貴重
- 一時帰宅できたときに一気に引っ張り出せるようにまとめている
<足元>
「砕けたガラスなどで足場が極端に悪くなります。
底の厚い靴が必要です」
対応例
- 体育館シューズは隙間にも入れて持ち運びできる
- 自転車や二輪が役に立つ
<ホコリ>
「ホコリは現場での問題のひとつ!
アスベスト等が舞い散る危険があります」
対応策
- マスクの着用
- レインコートは雨よけ、風よけ、ホコリよけに必要
また、食糧品の備蓄については、ローリングストック法が提案されています。
「日常備蓄のサイクル」という方法
①普段使っている日用品や日持ちのする食べ物を、少し多めに買っておく
--ポイント:必要なものを無くなる前に買う
②整理・整頓してストックする
--ポイント:整理・整頓しながらストックすると、何が不足しているか分かる
③賞味期限の近いものから使う
--ポイント賞味期限を明示しておくか、分けておくと使いやすい
(月に1~2回“非常食デー”を決めておくという方法も示されている)
→①使った分だけ補充する
備蓄における留意例
- 消化のよいもの
--お粥など食べやすい物も入れておく - 栄養バランスのよいもの
--栄養補助食品やビタミン剤も加えておく
(おにぎり、パンなどの炭水化物が多くなりがちです) - 家族が好きなもの
--避難時にムリして苦手なものを食べなくてもよい
(お菓子などの嗜好品も入れておく) - かさばらないもの
--避難時、置き場所に困らないようなもの - 保存期間が長めのもの
--レトルト食品やカップ麵など
具体的な備蓄品については、次号で検討列記してみたいと思います。
レジリエンス『先ずは生き延びることへの柔軟対応』
★『釜石の軌跡 三原則』
--鵜住居小学校の避難例
①想定にとらわれるな
②最善を尽くせ
③率先し、避難せよ
★『想定外に備える』
--南三陸町立戸倉小学校元校長 麻生川敦氏講演より
(東日本大震災時、子供たちの避難指揮をとった震災当時の校長)
①想定外が起こり得る覚悟をもつ。
②想定外の判断を行う目を持つ。
③臨機応変に対応する力を上げる。
(この拙いブログは、まだ災害について十分な実感を持てない筆者自身への「災害意識の駆り立て」でもあり、また「なかなか災害行動へと結びつかない焦り」でもありますが、何か皆様のFCPを考えるうえでのきっかけともなれば幸いに存じます。)