グンゼ(株)という下着でおなじみの会社
しかし、この会社についてはそれ以上のことは知りませんでした。
先日、カンブリア宮殿というTV番組を見ていてその経営に感心しました。
グンゼはおよそ120年前、京都綾部市で製糸会社として創業したそうです。
グンゼという社名は、郡の地場産業を広めるという方針の「郡是」からきているとのことです。
社名の由来自体がユニークですが、地域の人々に役立ちたいというその趣旨が分かります。
そして、この創業の地の建物はそのまま今も使っているとのこと。
創業の息吹を忘れないということでしょうか。
工場の床は板張り! 維持はコンクリート等よりも大変ですが、物を大切に扱わなければいけないという教育的な効果も持っているとのことです。
肌着の製造は品質を重んじて国内で生産だそうです。
しかし、この肌着の売上げは全体の半分しかないとのことです。
次々と新規事業の開拓に挑み続けています。
- 野菜用の袋に使う中身がしっかり見える特殊加工のフィルム
- ペットボトル等の包装用フィルム
- タブレット端末のタッチパネル表面の透明電極フィルム
- 「縫合補強材」「再生血管」
伝統がありながらも、本業を「深掘り」しその周辺の新規事業へ挑戦を続けています。
村上龍氏曰く
「新規事業を長い目で見て育てていく。」
「堅実に冒険して、次ぎにチャレンジしていく。」
「このような会社は、(カンブリア宮殿では)今までで初めてかもしれない--。」
--保守的で、挑戦的!
創業は「女工哀史」の時代
創業者波多野鶴吉氏の精神「善い人が良い糸をつくる」「事業は人なり、人は教育なり。」
「女工」と言わず「工女」と呼んで人を大切にし教育を熱心に実施した。
周囲からは「表は工場だが、裏は学校」とまで呼ばれたとか。
その古き良き社風が今も維持されています。
全国に知られる規模の会社が、創業時の精神が歴代の経営者をはじめ現社長にも継承されている。
希有と言ってもいい会社です。
「長く続いている組織は創業の精神が立派だ」と言われますが、グンゼも質の高い道徳性を持ったいい会社だと思います。
雑誌「道経塾」2014年9月号に、「すべての活力の源泉は人にあり」として、感動のサービスの舞台となった伝説のホテル「アソシア名古屋ターミナル」の元総支配人の柴田秋雄さんが登場しています。
ドキュメンタリー映画が全国で上映されるとのことです。
今の時代、「人を大切にする」という経営のあり方が大きく問われています。
非常に好ましい傾向であると思われます。
昨今の時代と価値観の変化、そして人手不足を考えると、今なお示唆を与え続けてくれている事例だと思います。