ある大手事業場での災害防止活動において、長年安全担当者として活躍されていた方の話です。
災害が継続して発生しており、何とかしようということで、過去の災害の分析したそうです。
過去の災害の中でも、重大な災害に結びつくと考えられる災害を6項目選び出し、更に各項目について災害パターンを類型化し、6項目70類型の「重点災害」としたそうです。
この選び出された重点災害は、その事業場における全災害の約30%を占めていたとのことです。
そして、各職場において、この重点災害についての危険性の洗い出しとその対策に集中して取り組んだそうです。
その結果は、「3年間で全災害件数が半減した」とのことです。
そして、驚くことにターゲットとした重点災害の減少よりもその他の災害の減少の方が大きかったとのことです。
その安全担当者であった方は、「的を絞ることで一人ひとりの達成感と感性が高まった結果であると思う」と語られています。
このことは、何を教えてくれているのでしょうか?
- アレモコレモでなく、的を絞った対策の方が効果が大きい。
--的を絞れば、多くのエネルギーを一点に集中するのでレベルの高い活動ができる。その結果効果が出る。 - ひとつが良くなれば、周辺部分へもよい影響が波及する。
「選択と集中」とはよく言われますが、安全管理面でのひとつの教訓的な話題です。
通常「災害」と言えば、人身傷害を意味して使いますが、ヒヤリ・ハット事案も少し深く考えてみると、災害と紙一重のケースであったということが多くあります。
その「ヒヤリ・ハットを“我が身の災害”と結びつける感性」が増せば、真剣さも変わってきます。
また、上の話題は、災害だけでなく、事故・トラブルまでも含めての教訓としても受けとめることもできると思います。