災害等において、「(自分も含めて)関係する人たちの命が救われること、及び負傷しないこと」は最優先ですが、事前対策として「被災後の生活」についても検討しておく必要があります。
各事業場においては、災害時のリスクマネジメントとして、中小企業庁から「中⼩企業BCP策定運⽤指針」が示されています。
そこには、災害等に遭遇して「事業を如何に継続していくのか?」という課題に対して、事業継続計画(BCP)の作成という方策が示されています。
この指針に示されている内容は、「災害への対応」「被災後の私たちの生活」を検討するうえにおいても参考となる事項が多くあります。
そこで、“生活の継続”という視点で、この指針の内容を検討してみるのも意味のあることと考えます。
(いわば「FCP:Family Continuity Plan」への“試考”といえます)
前回は、「事前対策」における「備蓄①(避難への準備)」についてでした。
今回は「備蓄②(日常での備蓄品)」について考えてみたいと思います。
【非常用に備蓄が必要と考えられるもの】
多くの文献に下記のような備蓄品が示されています
(「赤字」は非常持ち出しとして考えられる物です)
貴重品等
- 免許証・身分証明書類(コピー)
- 健康保険証、診察券(コピー)
- 通帳(コピー)、印鑑
- 常備薬
--お薬手帳(コピー:非常持ち出し用) - 家族の写真
--離れてしまった家族を探すときに活用できる - 緊急連絡先一覧表
- 携帯電話(充電器含む)
- 現金(100円玉、10円玉を含む)
--キャッシュカード、クレジットカード(ATM使用不可の場合) - メガネ・コンタクトレンズ
- その他
非常食品
- 飲料水(一人1日3リットル)
--500mlのペットボトルは、常時使うようにすると、ローリングストックがし易い。 - 主食関係
--米(アルファ米)、レトルトご飯、インスタント食品、麺など - 主菜関係
--レトルト食品、冷凍食品など - その他食品関係
--カロリーメイト、缶詰、チョコ、氷砂糖、ようかん等 - 各家庭でのそれぞれの必需品
--例:乳幼児のミルク等
燃料他
- マッチ・ライター
- ろうそく
- 卓上、携帯コンロ
- 電池、カセットコンロ&ボンベ
--使用期限を確認して使用する(確認する年4回程度がよい)
【電池】
必要なサイズと本数を確認しておく。
【カセットコンロ用ボンベ】
湿気と火気のない場所に保管。
備蓄の目安は10本程度。
コンロの耐用年数にも注意。
生活用品
<食事用>
- ゴミ用ポリ袋
--蓋付きポリバケツ、ゴミ袋、ほうき - ナイフ、缶切り
- 折りたたみポリタンク
- 食品ラップ、ポリ袋、ゴミ袋、ジッパー付き保存袋
--ラップは皿に巻いて使用すると洗い物の数を減らすことができる - アルミホイル
- 紙コップ、紙皿
<衣類>
- 下着
- ジャージ、アウトレット用ブランケットなど
- 防寒器具、防寒具
- 使い捨てカイロ
- 紙おむつ/お尻拭き/生理用品
<衛生用品等>
- 生活用水(飲用以外)
--水のくみ置き(風呂・洗濯機などを使用)
※災害後は、汚水が逆流してきている可能性もあるため、使用には注意が必要です。 - 上履き、スリッパ
- 新聞紙
- ティッシュペーパー、トイレットペーパー、ウエットティッシュ
- タオル、ローブ
- 簡易トイレ、消臭剤・凝固剤・消臭袋
- 口腔ケア(液体歯磨き等)
- 布テープ
- 必要に応じて
--女性用品、介護用品、赤ちゃん用品など
【簡易トイレ、消臭剤・凝固剤・消臭袋】
断水時、また下水管(排水管)が破損している場合、復旧までトイレが使えない事態が発生します。
<寝具類>
- マット・シート、保温シートなど
- 寝袋、耳栓
- 毛布(可能ならば簡易ベッドやマット)
<その他>
- 文具類(油性ペン等筆記用具、マジックペン、ノートなど)
- 懐中電灯
- 予備電池・携帯(スマホ)用充電器
- 携帯ラジオ(イヤホン)
- 雨具
- 裁縫セット
防災用品
- マスク
- 救急箱
--アルコール消毒液、体温計 他 - 防じんマスク
- アイガード
- 手袋(ゴム手袋、軍手)
- ヘルメット/防災ずきん
- レジャーシート
--ブルーシート、ビニルシート及びテープ(すき間閉じ等)
※大型のものが何枚かあると便利 - ホイッスル
作業用工具等
- バール(てこ用棒)
- スコップ
- 斧
- ペンチ、ハンマー、レンチ
- 作業用手袋、厚手の靴下
- 小型ナイフ(多機能ナイフ)
- 工具セット
--ペンチ、ハンマー、レンチ、ガムテープなど
その他
- カメラ(損害記録のため)
フェーズフリーという考え方
以上を日常の生活の中で準備しておくという視点です。
日常の生活で使っているものが、もしもの時に役立つ。
--このもしものとき最低限の生活備蓄を、普段の生活の中で、自然に使え、しかも災害の際には役立つようにしておくという考え方です。
このような視点を持って、日常生活全般を考えていくことがスムーズな防災備蓄につながるものと思います。
(この拙いブログは、まだ災害について十分な実感を持てない筆者自身への「災害意識の駆り立て」でもあり、また「なかなか災害行動へと結びつかない焦り」でもありますが、何か皆様のFCPを考えるうえでのきっかけともなれば幸いに存じます。)