“絶対に挙行?!” 東京オリンピック

今年3月2日のスポニチアネックス配信に、JOCの山口香理事の下記記事が載っていました。


山口香JOC理事 開催ありきの東京五輪に「『どうしてもダメな時は中止もあり得る』と言うべき」

 日本オリンピック委員会(JOC)理事で、柔道元世界女王の山口香氏(56)が2日、BS-TBSの報道番組「報道1930」に生出演し、東京五輪・パラリンピックの開催可否をめぐる発言について私見を語った。

 新型コロナウイルスの感染や変異株の状況次第で、開催そのものが危ぶまれる事態だが、関係者からは中止の可能性に言及するコメントはほとんど出てきていない。
山口氏は「私は国民に安心、安全ということを言うのであれば、『最後の最後でどうしてもダメな時は当然、中止もあり得ます』ということを言うべきだと思います。『どんな状況でもやる』と言われると、たとえば頂上が目の前にあるから、こんなに天候が悪いのに、荒れているのに、命がけで行くんだ、と言われているのと同じ」と指摘した。

 さらに、「引き返す勇気は当然、お持ちだと思うんです。それを伝えてくれないと、やることありきで進んでいるんじゃないかと感じてしまうと思う。そういうことを言うと、不安をあおると感じられていると思うんですけど、私は逆だと思う」とも訴えた。


「引き返す勇気の大切さ」は、いろんなところで言われています。
山口氏もこの当然のことを指摘されています。
そして、多くの人達もまたそう思っているように感じるのですが如何でしょうか。

経営の場でよくあることなのですが、
上司が(特に経営トップが)「○○を絶対に実行する」と断言すると、それに反するような情報には口が閉ざされるようになります。

先月「コロナゼロと絶対安全」でも書いたのですが---
「○○のような事故・災害は絶対に起こしてはならない」という言葉を上司が発したとしたら、それから先、上がってくる情報はかなり着色されたものになってくる可能性が大きくなります。

「事実を素直に認める言葉」、そしてその認識を共有したうえでの、可能性への模索を考えるということが現実面での対応としては欠かせません。
この事実認識の共有は、リスクアセスメントにおいては基本でもあります。
この「事実認識の共有」を山口氏は、言われていると思います。

トップが絶対挙行を断言することで、どこかにストレスを生じます。
(少しでも後ろ向きな発言をすると、それを大きく否定的に偏向されて報道されるようなことも考えられますが--)
変異ウイルスが蔓延しかけている状況下、どこかに大きなストレスが生じているのではないかと推察されます。

57年前(1964年)の東京オリンピックは、国民の期待を背景に、最も季候の良いとされた10月10日に開催されました。
そしてその後の日本の発展の起点ともなりました。
しかし、その夢を再び追うには、時代が大きく変わった感がします。
時代とともに巨大な経済利権が生じてくるのも仕方がないこととは思いますが、国民の意識も大きく変わってきていると感じます。

本当の意味での世界のトップを競うようなアスリートの場となるのでしょうか?
オリンピックを継続していくためには、無観客でも開催し、次へとつなげていくということでしょうか?
その方がオリンピックの精神が維持されるのでしょうか?

当筆に分かりかねますが、山口氏の記事に接し、このような感が再浮上した次第です。
もう聖火は国内を断片的にリレーされているようです。