創業と守成

中国唐時代の太宗皇帝の治世(626~649)を「貞観の治」というのだそうですが、その太宗と名臣たちとの問答をまとめた「貞観政要」という書物があります。
その中の納められている有名な「創業と守成」についての問答があります。



この1500年ほど昔の創業と守成の問答は、現代においても多くの示唆を与えてくれます。
建物、或いは施設環境の領域においてもこの脈絡は生きています---
建物を造るのには多くの人々の労力、技術そして相応の資金が必要ですが、その建物の維持運営管理は数十年に及びます。その建物を廃棄するまでにかかる経費(ライフサイクルコスト)は、建物の種類により異なりますが、建設費の3~4倍以上必要と言われています。
この維持管理の領域は、道路、橋等の社会インフラの劣化問題にもみられるように、軽視されがちですが、非常に大切な多くの課題を含んでいます。

「守成」という言葉は、辞書に「創業のあとを受け継いで、その事業を固め守ること。」とあります。ただ単に維持することというよりも前向きな創造的な意味合いを含んでいます。
メンテナンスも、創造的改善努力(固め守る努力)という要素を含んではじめて「守成の業」といえるのではないかと思います。