⑧ リスクの見積り・評価 -1

次に、特定された「危険性又は有害性(危険源)」について、そのリスクの大きさを見積もっていきます。
そして、見積もられたリスクを評価し、リスク低減対策を検討していくことになります。

<リスクの大きさの見積り>

リスクの大きさは、
特定した「危険性又は有害性(危険源)」による
発生するおそれのある負傷又は疾病の重篤度(危害の大きさ)

その発生する可能性(その危険性又は有害性への遭遇の度合:発生確率)
により見積もっていきます。

リスクの評価軸は、上記の「その危険源により発生する重篤度」「その危険源への遭遇度合」の他に、「リスクの遭遇の回避性」を考慮に入れる等も考えられます。
「危険源の重篤性(危害の大きさ)」は、その危険源の本来持つ危険性であり、「危険源への遭遇度合(発生確率)」は、危険源への接近頻度(危険状態の発生頻度)及び危害事象への移行度合いであり、対象とする作業の特性により検討します。

「危害の大きさ」については、計画・設計・作業工程の変更などにより、また、「発生確率」については、工学的方法の適用等による工夫により低減の余地があります。

なお、化学物質のリスクアセスメントについては、「ばく露量」等の評価軸によるリスクの大きさの見積り手法が示されています。
<参照>化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針

リスクの見積りにおいて、事業場の機械設備・作業等の特性に応じて、下記の例のように危険源の分類を検討しておくと、以降のリスク対応策が検討し易くなることも考えられます。

  • 物理的な作用によるもの(挟まれ・巻き込まれ、墜落・転落 等)
  • 物理因子の有害性によるもの(振動障害 等)
  • 化学物質の物理的作用によもの(爆発、火災 等)
  • 化学物質等の有害性によるもの(中毒 等)
<リスクの見積り実施上の留意事項>
  • 予想される「負傷又は疾病の対象者」および「その負傷又は疾病の内容(災害事象)」を明確に予測すること。
  • 参加者による多数決や平均的意見の採用ではなく、最も厳しく予測した意見を踏まえ、議論して「負傷又は疾病の重篤度」を予測すること。
  • 「重篤度」は、「負傷又は疾病による休業日数」等の客観性のある尺度とすれば分かりやすい。
  • 有害性が立証されていない場合でも、危険性又は有害性についての“一定の根拠”がある場合には、有害性が存すると仮定して対応すること。
  • 下記の事項についても考慮すること。
    • 「安全装置の設置」「立入禁止措置」等の信頼性および維持状況、無効化あるいは無視される可能性
    • 「作業手順の逸脱」「操作ミス」「予見できる意図的・非意図的な誤使用」等の危険行動の可能性