⑬ リスクアセスメントの法的位置づけについて-1

労働安全衛生法第28条の2(事業者の行うべき調査等)にリスクアセスメントの実施が努力義務規定として設けられ、事業者による危険性又は有害性等の調査の実施とその結果に基づき必要な措置を講ずることが定められています。

また、次の事項にもリスクアセスメントに係る項目が規定されています。

  1. 安全・衛生委員会の付議事項
    労働安全衛生規則第21条、第22条に定められた安全・衛生委員会の付議事項としてリスクアセスメント及びその結果に基づき講ずる措置が規定されています。
  2. 総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者の業務
    総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者の業務としてリスクアセスメント及びその結果に基づき講ずる措置が規定されています。
  3. 安全管理者、職長教育の教育内容
    安全管理者の選任に伴う研修や事業者責任として行う職長教育にリスクアセスメントに関する事項が定められています。
  4. 機械等の設置に伴う計画届の免除要件
    労働安全衛生法に基づき一定の建設物や機械の設置・移転等に必要とされる計画届の免除要件として、リスクアセスメントを実施していることが定められています。
<参考>
労働安全衛生法

(事業者の行うべき調査等)

第28条の2 事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性等を調査し、その結果に基づいて、この法律又はこれに基づく命令の規定による措置を講ずるほか、労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講ずるように努めなければならない。
ただし、当該調査のうち、化学物質、化学物質を含有する製剤その他の物で労働者の危険又は健康障害を生ずるおそれのあるものに係るもの以外のものについては、製造業その他厚生労働省令で定める業種に属する事業者に限る。

2 厚生労働大臣は、前条第1項及び第3項に定めるもののほか、前項の措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。

3 厚生労働大臣は、前項の指針に従い、事業者又はその団体に対し、必要な指導、援助等を行うことができる。

労働安全衛生規則

第2章の4 危険性又は有害性等の調査等
(危険性又は有害性等の調査)

第24条の11  法第28条の2第1項の危険性又は有害性等の調査は、次に掲げる時期に行うものとする。

  1. 建設物を設置し、移転し、変更し、又は解体するとき。
  2. 設備、原材料等を新規に採用し、又は変更するとき。
  3. 作業方法又は作業手順を新規に採用し、又は変更するとき。
  4. 前三号に掲げるもののほか、建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性等について変化が生じ、又は生ずるおそれがあるとき。

2 法第28条の2第1項ただし書の厚生労働省令で定める業種は、令第2条第1号に掲げる業種及び同条第2号に掲げる業種(製造業を除く。)とする。

(第8節 指針の公表)

第24条 法第19条の2第2項の規定による指針の公表は、当該指針の名称及び趣旨を官報に掲載するとともに、当該指針を厚生労働省労働基準局及び都道府県労働局において閲覧に供することにより行うものとする。

第24条の12 第24条の規定は、法第28条の2第2項 の規定による指針の公表について準用する。

労働安全衛生法施行令

(総括安全衛生管理者を選任すべき事業場)

第2条 労働安全衛生法 (以下「法」という。)第10条第1項 の政令で定める規模の事業場は、次の各号に掲げ
る業種の区分に応じ、常時当該各号に掲げる数以上の労働者を使用する事業場とする。

  1. 林業、鉱業、建設業、運送業及び清掃業 百人
  2. 製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業 三百人
  3. その他の業種 千人
その他リスクアセスメント関連事項(安衛則関係)

(1)総括安全衛生管理者が統括管理する業務(安衛則第3条の2)

(2)安全委員会の付議事項(安衛則第21条)

第21条 法第17条第1項第3号の労働者の危険の防止に関する重要事項には、次の事項が含まれるものとする。

  1. 安全に関する規程の作成に関すること。
  2. 法第28条の2第1項の危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置のうち、安全に係るものに関すること。
  3. 安全衛生に関する計画(安全に係る部分に限る。)の作成、実施、評価及び改善に関すること。
  4. 安全教育の実施計画の作成に関すること。
  5. 厚生労働大臣、都道府県労働局長、労働基準監督署長、労働基準監督官又は産業安全専門官から文書により命令、指示、勧告又は指導を受けた事項のうち、労働者の危険の防止に関すること。

(3)衛生委員会の付議事項(安衛則第22条)

第22条 法第18条第1項第4号の労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項には、次の事項が含まれるものとする。

  1. 衛生に関する規程の作成に関すること。
  2. 法第28条の2第1項の危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置のうち、衛生に係るものに関すること。
  3. 安全衛生に関する計画(衛生に係る部分に限る。)の作成、実施、評価及び改善に関すること。
  4. 衛生教育の実施計画の作成に関すること。
  5. 法第57条の3第1項及び第57条の4第1項の規定により行われる有害性の調査並びにその結果に対する対策の樹立に関すること。
  6. 法第65条第1項又は第5項の規定により行われる作業環境測定の結果及びその結果の評価に基づく対策の樹立に関すること。
  7. 定期に行われる健康診断、法第66条第4項の規定による指示を受けて行われる臨時の健康診断、法第66条の2の自ら受けた健康診断及び法に基づく他の省令の規定に基づいて行われる医師の診断、診察又は処置の結果並びにその結果に対する対策の樹立に関すること。
  8. 労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置の実施計画の作成に関すること。
  9. 長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること。
  10. 労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること。
  11. 厚生労働大臣、都道府県労働局長、労働基準監督署長、労働基準監督官又は労働衛生専門官から文書により命令、指示、勧告又は指導を受けた事項のうち、労働者の健康障害の防止に関すること。

(4)委員会の議事概要の周知(安衛則第23条)

(5)危険性又は有害性等の調査(安衛則第24条の11)

『危険性又は有害性等の調査等に関する指針』
(平成18年3月10日公示第1号)

<関連指針等>

『化学物質等の危険性又は有害性等の調査等に関する指針』
(改正 平成27年9月18日公示第3号)

『労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針』
(改正 平成18年3月10日厚生労働省告示第113号)

『機械の包括的な安全基準に関する指針』
(改正 平成19年7月31日基発0731001号)

『機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針』
(平成28年厚生労働省告示第353号)

『工作機械等の制御機構のフェールセーフ化に関するガイドライン』
(平成10年7月28日基発464号)