等電位接地システム(EPRシステム)


等電位接地(EPRシステム)とは、導体間の電位差を低減させるための接地手法。
医用電気機器の接地や、雷電流からの保護に使用されている。

医療分野における利用

病院や診療所では、治療や検査において患者の体内(心臓に極めて近い心臓部など)にカテーテル(動脈に挿入する直径2mm程度の細い管)や電極を挿入することがある。
もし、心臓部に電位差が生じるとミクロショックを生じ、致命的な事故となる。
許容電位差が10mV以下であれば、人体の抵抗を1kΩと仮定すると、人体に流れる電流がミクロショックを惹起しない限度の10μA以下に押さえることができる。(10mV=1kΩ×10μA)
等電位接地システムはこのミクロショックを防止するために、患者周辺の医療機器(ME機器など)や金属製品(ベッドなど)の金属部分を0.1Ω以下の導線で接地センターに1点接地し、金属部分間の電位差を10mV以下に抑制する目的で使用される。
金属部間の電位差を10mV以下に抑制するためには、漏れ電流が100mA(10mV÷0.1Ω=100mA)を超えないようにしなければならないが、手術室等の電路は、非接地配線方式が併用されており、大きな漏れ電流が流れないように配慮されている。

一般の電気機器では、機器の浮遊静電容量により数百µAの漏れ電流が容易に流れるが、心臓に適用する医療電気機器では、10µA以上の電流が心筋に流れないように厳しく制限されている。

雷電流から保護するための利用

等電位接地システムは、落雷時の誘導雷による被害軽減策として用いる場合もある。
誘導雷による電流は、建物内の金属配管や電線などから侵入するのが一般的であるが、建築物を構成する金属部である配管や電気機器をすべて接地線で接続することにより、雷サージによる金属間の電位差を抑え、アークの発生等を防止することができえる。
これにより、人体への影響及び機器の故障等のトラブルが防止でる。
等電位を図るための接地線はできるだけ太く、かつ短いことがより望ましい。