感電したこと(電気に触ってビリッときたこと)ありますか?
そのときのあなたは厳しい状況にあったかもしれません。
幸いにしてビリッだけで済んだのかもしれません。
汗をかいていたらーー、周りの金属に触れていたら--等々の状況により、死に至る危険が身近にあったかもしれないのです。
最近は、設備面での充実もあり、感電を経験することは少なくなったのですが、電気の危険なことに変わりはありません。
感電は致死率の高い災害です。
では、人はどのくらいの小さな電流から電気を感じるのか?
更に電流値が大きくなるとどうなるのか? という疑問が湧いてきます。
<感知電流>
人体表面から人体に電気が流れたとき、電撃(感電)を知覚できる最小の電流が感知電流です。
下記の値が示されています。
直流の場合 男性約5.2mA 女性約3.5mA
60Hzの交流 男性約1.1mA 女性約0.7mA 舌約0.045mA
(mA:ミリアンペア。つまり、0.001アンペア)
<離脱電流or可随電流>
筋肉の自由は利く(つまり離脱できる)が、苦痛を伴う電流の上限値が離脱電流です。
下記の値が示されています。
直流の場合 男性約62mA 女性約41mA
60Hzの交流 男性約9mA 女性約6mA
<不随電流>
これ以上の電流が流れると、筋肉はけいれんし、電線をつかんだままだと離れられないような電流が不随電流です。
下記の値が示されています。
直流の場合 男性約74mA 女性約50mA
60Hzの交流 男性約16mA 女性約10.5mA
※不随意状態が長く続くと、意識を失ったり、呼吸困難となり窒息状態となる。
※電流が胸部や腹部に流れると、その部位の筋肉がけいれんし、窒息に至る。
※電流が人体内を流れると、流入出口の熱傷、皮膚内部の組織変質/破壊、内臓障害を起こすことになる。
※電流が心臓部を流れると、心室細動(心臓の微細なけいれん)を起こし、数分以内に死 に至ることもある。
以上のように感電は、人体に流れる電流の大きさ、流れる時間、流れる部位によっていろいろな傷害が起こります。
では、安全な電圧とは?(電気協会の低圧地絡保護指針によると)
- 人体の大部分が水中にある状態では、2.5Vでも危険としている。
(風呂に入っているときとか水泳中の状態) - 人体が著しく濡れている状態、または金属に人体の一部が常時触れている状態では、25Vを超えると危険としている。
※労働安全衛生規則第332条の「交流アーク溶接機用自動電撃防止装置」に関する技術上の指針では、「30V以下の安全電圧」と記されています。
電気に関する事故は、感電以外にも「電磁ノイズによる機器の誤動作」「静電気などが点火源となって起こる火災や爆発」「電気の発生する熱による火傷」等があります。
(冬の乾燥状態での静電気によるショックも“感電”です)
尚、法的には下記のような規定が定められています。
<設備面>では、接地の実施、漏電遮断機の設置 等
<制度面>では、電気工事士による工事、電気主任技術者による保安管理、監督官庁による取り締まり等