“音”による傷害について

“音”は仕事或いは生活環境において常時耳から入ってきていますが、大きさが過ぎた場合には「聞こえなくなる」という障害が出てきます。
これを「難聴」というのですが、目安として、若い人(18~30歳)の平均値より30dB以上強い音でないと聞き取れなくなった状態をいうのだそうです。

今回はこの難聴について少し掘り下げて、“音”を私たちの周囲に存在するハザード(潜在危険性)のひとつとして再認識してみたいと思います。
(独りよがりの解釈があるかもしれません。その場合は“ご容赦”を!)

健康診断での聴力検査は、オージオメータのヘッドホンをかぶり、右耳左耳順番に小さな低い音、高い音を聞き取れるかどうかの簡単なテストですが、難聴の検査です。
なお、難聴といっても、障害を受けた部位により分類されるとのことで、外耳から中耳までの音の伝搬経路に障害があるときは「伝音性難聴」、内耳以降の神経系に障害があるときは「感音性難聴」と呼ぶそうです。

ロックコンサート等の後、周囲が静かに感じることがありますが、これは一時的な「感音性難聴」で、時間の経過とともに回復します。
高いところに登ったとき、或いは高いところから降りてきたとき、少しの間周囲が静寂になることがありますが、これは「耳管(エウスタキオ管)」の詰まりによるもので、「伝音性難聴」の一種に該当するのでしょうか?。
問題は「感音性難聴」で、強い騒音を継続的に受けると、回復が困難となり永久的な難聴になります。

騒音が原因で生じる難聴は、4,000Hz付近から発生し、そこを中心として拡大していくという特徴を持っています。
また、難聴までいかなくても、騒音環境では、「末梢血管の収縮現象」「内分泌系でのストレス」等の身体への影響が出ることがあります。
発破工事などで、耳元で強い音(125dB以上)が発せられると、聴覚細胞が傷害を受けることになり、難聴になることがあります。

騒音による睡眠障害については実験等によると、騒音レベルの単位が40dB(A)から顕著になるそうです。
心理的影響については、意味のある音、2,000~8,000Hzの高い周波数領域に主成分がある音、継続時間が長い音、立ち上がり時間の短い音等が不快感を増すとされています。

なお、加齢による難聴は「老人性難聴」というのだそうで、仕事或いは生活環境による難聴とは区別して扱われるのですが、これは個人差が大きいことが実感としてあります。
老人性難聴は、高い音から徐々に進行するといわれています。つまり、女性の声が聞き取れなくなるということ?!
また、音というのは個人差が大きいことに加えて、「騒音」と感じるかどうかは、そのときの周囲環境及び心理的な状況が大きく影響するものです。
筆者は静寂を好みますが、もしかして静寂すぎるのもかえって違和感を感じ、落ち着かなくなるかもしれませんね。

 


【参考】

◎中学のとき習った音に関する知識として思い出されるのは

  • 空気15℃における音速は 約340m/秒 であり、気温が高くなるほど速くなる。
  • 水中では 約1,500m/秒。鉄中では 約6,000m/秒。
  • 媒質体が音波の進行方向と同じ方向に振動する「縦波」。
    (因みに、光は横波の性質を持つ)
  • 人の耳が聞き取れる周波数の範囲(可聴範囲)は、個人差があるがよそ20Hz~20,000Hz

◎音の大きさの感覚(高校以降の知識)

  • 聴覚的な音の大きさは、物理的な音の強さと比例しない。
  • 超低周波音(20Hz以下の音)や超音波(20,000Hz以上の音)は、いくら強い音であっても聴覚的には聞こえない。
    (振動としては感じることがある。或いは、低周波障害となる。)
  • 人間には「聴覚特性」があり、同じ強さの音でも同じ大きさの音に聞こえないときがある。
    感度がいいのは1~5kHzあたりであり、低音域や高音域での感度は落ちる。
    この人の感覚特性により補正したのが、単位dB(A)で、(A)が付いている。
    --理科年鑑によると--
    やっと聞こえる音が 0 dB(A)
    低いささやきは 20 dB(A)
    静かな公園住宅地 40 dB(A)
    普通の会話 60 dB(A)
    昼間の繁華街 80 dB(A)
    高架ガード下 100 dB(A)
    ジェット機の下 130 dB(A)

 

※単位「dB」については、人の感覚の範囲を把握するのに都合よい対数を使った単位で、説明するには、基準値を元にした数式を使わなければならないので、下記の 株式会社小野測器さんの比較表でおおよそを感覚的につかんでほしいです。

[説明文]
基準音圧 p0 は空気中の音の場合 20 μPa であり、ほぼ正常の聴覚を有する人間の 1 kHz の純音に対する最小可聴値となります。
下図は、音圧 p(Pa)と音圧レベル Lp(dB)の関係を示したもので、音圧 20 μPa(図の右下) は音圧レベル 0 dB、1 Pa は 94 dB、20 Pa は 120 dB になります。

デシベル説明表

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

( 表の小さい数字が見えにくいときは表部分を左クリックしてください)