“緊急時対応方針” の必要性について

最近あまり「BCP」という言葉、あまり聞かれなくなったように思います。
事業継続計画」という意味です。
考えられるいろいろな災害を想定して、「事業の被害軽減および早期復旧のための計画」を事前に作っておこうというものです。
東日本大震災の後はよくこの言葉が出てきていました。
セミナーも盛んに開催されていたように思います。

しかし、その重要性は今も何ら変わっていません。
計画したとおりに緊急時における対応策が進むとは思いませんが、事前に検討をして、それに基づいた対応計画としてまとめておくことは大きな意味があります。
準備をしているのといないのとでは、イザのときの対応に、心の面も含めて大きな差異が出ると思います。

ところが、このBCPの作成は結構難しいです。
いろいろなケースを考えた場合、対応策に行き詰まってしまいます。
例えば災害の発生時刻だけを考えても、いろいろのケースが考えられます。

そして、せっかく努力して作ったとしても、災害発生の必要時に手元にあるとも限りません。
停電によりパソコン内の計画書が読めないというような事態も起こります。
(福島原発の電源喪失事故がよい例です。電力会社の発電所で非常用の電気が作れなかったのです。)
また、いろいろの対応策を講じていたとしても、どのような事態に遭遇するかわかりません。
人もパニックに近い状態になります。
(日常の訓練により、少しは冷静になれるかもしれませんが、それでも相当慌てるでしょう。)

 

このような状況に陥ったとき、最終的な拠り所となるもの(拠り所となる判断基準)は---
咄嗟のときに思いつくものは---

組織、或いは企業においては、「いつも社長から発せられている経営理念」ということになります。
「何のために仕事をしているのか」「何のために会社はあるのか」という判断の根底部分です。
お仕着せの、名目だけの言葉ではなく、ホンネで理解認識している部分。
これが浸透していれば、少なくとも社員はその行動判断においては大きく迷わないはずです。
日頃の経営トップの経営姿勢が問われる場面となります。


有名な経営理念として
トヨタ自動車の「トヨタウエイ」、ジョンソン・エンド・ジョンソン社の「我が信条」等が思い浮かびます。

また、よく三層構造基準が示されます。
二層目がグループ判断基準、三層目が個別判断基準と階層化されているのですが、そのトップに位置するのが理念あるいは方針です。
下位の判断基準書がなくなっても、この理念で判断すれば大きく間違わないということです。

そのような基準を持っていますか?
というような問いかけがなされています---

そして思うに、{BCP}は災害等の純粋リスクへの対応ということで言われていますが、企業継続の意味はそれだけではないはずです。
事業の承継、社会批判への対応、労働災害発生等いろいろな場合にも当てはまる言葉であろうと思います


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【トヨタ自動車の「トヨタウエイ」】
トヨタが「どのような会社でありたいか」という企業理念を表したものが「トヨタ基本理念」である。
これを実践する上で、全世界のトヨタで働く人々が共有すべき価値観や手法を示したものが「トヨタウェイ2001」である。
==Wikipediaより==

【ジョンソン・エンド・ジョンソン社の「我が信条」】
ジョンソン・エンド・ジョンソンのたゆまない歩みの礎となり、絶えず適切な方向へと導く源泉となってきたものが、ジョンソン・エンド・ジョンソンのコア・ バリューである「我が信条(Our Credo)」です。ジョンソン・エンド・ジョンソンの企業理念・倫理規定として、世界に広がるグループ各社・社員一人ひとりに確実に受け継がれており、各国のファミリー企業において事業運営の中核となっています。
==Wikipediaより==