<「あれもこれも」ではなく、拘りを持って推進>
前号に続いて--
長年企業の安全活動に携わられたある先輩は言われます。
「現場の第一線は、生産も品質も人事も安全もすべてをこなさなければならない。結果として、現場はすべてをできないが実施したとウソをつかせることになる。」
いろいろな法律があり、規則等があります。
もちろんそれらの決まりには従わなければならないのですが、対応は一つひとつしかできません。
管理者の立場になりますと、言わなければいけないこと(守ってもらいたいこと)が多くあり、アレモコレモ言ってしまいます。
そして、「言ったのだから、覚えていてくれて、実行してくれる」と思います(期待します)。
しかし、現実はそうはいきません!
本音レベルの傾向は--
言われた側は、内容は右から左へ!
(しかし、自分の損得に関係の深いことには強く注目する。そして、自分の都合のよいように解釈する。)
言った側(管理者)は、「言っておいたのだから、やらないのはいわれた方が悪い。(私には責任がない)」と考えがち!
(しかし、それは責任逃れの口実となります。)
安全衛生においても、問題があるたびに多くの決まりが作られますが、現場でそれらを消化していくことは大変です。
規制する立場としては、基準となるものを作っておかないといけないわけで、次々とガイドライン等を示すということになるのでしょうが---
先輩は言われます
「小さいことができない人に大きなことはできない。一項目もできなければいくつ掲げても同じである。」
「拘りのテーマを持って、実施事項を一つに絞り込めば活動が見えてくるし成果はついてくる。一つひとつのテーマを実践して積み上げていけば結果は同じである。」
これが現場での経験の智慧、実践極意ということになるのでしょう。
また、その実践のために「計画」があるということになります。
<環境が変わり、人が変わり、文化ができる>
先輩は言われます
「先ずトップがやるべきことは働きやすい環境づくり。これができて初めて人の意識が変わる。そして、トップから第一線まで同じ考え方を持つようになって、職場風土が形成されてくる。」
このように職場風土(企業文化)ができるまで「10年はかかる」という結論になったということです。
これが風土・文化づくりのステップということです。
決して一朝にできるものではないということです。
このステップを踏み、一歩一歩レベルアップしていくためにも(よい会社になっていくためにも)企業は長く続かなければならない
そうすると、先輩が最初に言われている
「“生き残る”会社は“人を大切にしている”」ということに帰結するのでしょうか。
人を大事にする会社が生き残る。
「人を大事にする」ということについては、多くの人の同意を得られると思います。
しかし、「総論同意各論困惑」について如何に対処するかという問題の発生が考えられます。
安全文化の構築について苦労されてきた先輩の貴重な体験を何かのヒントにできればと思います。
※現場サイドの視点での企業文化の形成についての話でした。
当ブログで同時並行して展開しています「建設的企業文化」は経営サイドの視点とも言えます。
そして、これらは一つの理念に統合されると考えます。