4月25日午前8時半ごろ、北海道旭川市の鋳物工場で爆発が発生したというニュースがありました。
- 従業員ら16人が病院に搬送され、このうち工場長が全身にやけどを負い、同日夜に病院で死亡が確認された。
- 炉内の高温の鉄と冷却水が接触し、水蒸気爆発を起こした可能性がある。
- 目撃した人の話
「ドーンとものすごい音と地響きがして窓が揺れた。外を見たら、工場の屋根のあたりから黒煙が上がっていた」
「様子を見に行くと、工場の窓ガラスは吹き飛び、破れた窓から煙が出ていた。」
「最初に1度爆発音があり、工場を見ると黒い煙が上がっていた。数分後に大音響とともにものすごい震動がきて、家に車が突っ込んだのではないかと思ったほど。とても怖かった」
水蒸気爆発については、以前からその脅威が言われており、特に溶融金属を扱うような工場では注意が払われていたことと思われますが、今回人命も失われるような脅威が再現されました。
普段身近に接している水にこのような威力が潜んでいるということです。
熱したフライパンに水滴をたらした場合に激しく弾け飛ぶのは経験しています。
水は熱せられて水蒸気となると体積が約1700倍にもなります。
多量の水と高温の熱源が接触した場合、水の瞬間的な蒸発による体積の増大が起こます。
この爆発現象は「水蒸気爆発」或いは「蒸気爆発」と言われ、古くから研究が行われていたようです。
水蒸気爆発は、化学反応を伴う爆発ではなく、水が多量の熱エネルギーを受けて瞬間的に気化し膨張することによって起きる物理的な爆発現象です。
多量の水が瞬間的に気化することによる爆発の脅威となるには、高温物が液体であると水とよく混じり合い効果的だそうです。
つまり、溶融金属のような液体で多量の熱エネルギーを持っているものが特に危険ということになり、災害事例も溶融金属を扱う事業場が多いようです。
注意すべき点は「水と高温物の接触の仕方によっては、爆発が起こらないこともある」ということです。
つまり「今までの作業ではなにもなかったのに、今回はなぜ爆発したのか?」というようなこともあり得ます。
高温物質が存在する(取り扱う)作業場等では、「潜在的な危険性」としての「水蒸気爆発の可能性」を、周辺に存在する水分との関係でリスクとして認識・検討しておく必要があります。