雑誌「安全と健康」を見ていると、「感情労働」を特集していました。
“感情労働”とは?!
以前に聞いていたことがあったかもしれませんが、新たに認識しました。
今までよく耳にしていたのは「肉体労働」「頭脳労働」ですが、対人サービス業が増えたことによりクローズアップされてきたのがこの「労働者の感情に関する視点」です。
「労働」という言葉は、「Labor」の訳とされ、嫌々でも強制的に使役される意味合いを含んでおり、前向きに創造的に働く「勤労:Work」と区別されて使われてきたように認識しています。
サービス業においては、心づかいが大切であり、「お客様のことを思って働きなさい」というようなことを言われ、上司より強要されることもあると思います。
でも、それが毎日の義務的なものになってしまえば「Labor」に変わってしまいます。
つまり、「感情労働」となるわけです。
最近の「メンタルヘルス」「ストレスチェック制度」も、対人サービス業に従事する人の増加とともにクローズアップされてきた課題であり、またその対応制度です。
「感情労働」を最初に提唱したのは、アメリカの社会学者ホックシールド氏で、その著書に下記が挙げられているそうです。
「サービス労働に従事する現代の労働者は心を酷使されている」
「現代とは感情が商品化された時代であり、対人的職業に従事する人は心を売らなければならない」
心に迫って来ます!
そして「感情労働」を、次のように定義しています。
「自分の感情を誘発したり抑圧したりしながら、相手の中に適切な精神状態をつくり出すために、自分の外見を維持する労働」
大変であり、難題です!
もし自分が上司からこのようなことを指示/命令されたら---?!
また、この記事を書かれた西武文理大学の田村尚子教授は、最近この「感情労働」が注目されるようになった対人サービスの背景として次の点が挙げられています
- 企業の標榜する「顧客満足」に顧客側が慣れてしまい、より高いサービスを要求するようになっている。
- 「お客様第一主義」を曲解して理不尽なサービスを要求する顧客もいる。
--敢えて表立って理不尽な要求をしなくても、心の中で “要求するのが当たり前” と思っている人も増えてきている?! - インターネット等を通じた評価が瞬時に伝播する環境にある。
これへの対応としてよりきめ細かな感情労働が要求されるようになっている。
相手への思いやりをベースに置く対人サービスは普遍的に大切なことだと思います。
しかし、それを仕事とする人の立場で見直してみることが必要です。
特に、当筆は「対人サービス」と聞くとそれだけで引くタイプですので、ハードルの高さを感じます。
「顧客サイドの精神的文化度(道徳性)を高めること」が根底にあることを認識しながらも、対人サービスを業とするうえでの必要なテクニック或いは考え方の転換手法等を深めることの必要性を感じます。
大きな課題です!
次月に続けたいと思います。