“コロナ下の空気環境管理”について

先月の当Blog記事、NHK11月11日放送の
「新型コロナ 全論文解読~AIで迫る いま知りたいこと~」
において、ウイルス対策として、施設管理あるいは設備管理の面から注目する内容がありました。

「冬場の感染拡大のリスク」として、下記のキーワードが挙げられていました
①気温 ②湿度 ③ビタミン ④年齢 ⑤地域

この ①気温 ②湿度 について
ウイルスの生存時間は、気温と湿度により著しく異なってくる
・夏  気温35℃ 湿度60% の場合 2時間
・秋口 気温24℃ 湿度20% の場合 15時間
--秋口の湿度20%は通常より低いと思われますが、生存時間の違いは明らかで、気温と湿度に大きく依存しています。

そしてこの「乾燥、低温」のマイナス要因に対して、「マスク、交差免疫」のキーワードで、「微量感染」というプラス(有効)要因が示されています。
マスク着用効果の分かり易い説明です(これには反対意見もあるようですが--)。

「AIにより導き出された対策」として、下記のキーワードが挙げられていました
①消毒技術 ②紫外線 ③不活性 ④蒸発 ⑤加湿器

②の紫外線については、222nm(ナノメートル)の紫外線が人体皮膚に影響なく効果的とのこと。
--10秒の照射で9割が無害化する
--施設での利用可能性があるとのこと
また、オゾンガスの利用も挙げられていました

⑤の加湿器について
湿度は、喉の奥のバリア機能に影響し、乾燥状態では異物を戻す機能が悪くなる。
--湿度40~60%で一番良くなる(60%以上はカビの繁殖の影響がある)
--空中ウイルス(マイクロ飛沫)の飛散抑制においても、湿度30%→60%で半減できるとのこと。

【関連記事】
日亜化学工業は12月17日、殺菌やウイルスの感染力を失わせる不活性化効果があるとされる「深紫外LED」で、光出力が世界最高水準の製品を開発し、実用化への量産体制を整えたと発表した。(ピーク波長280nm)
徳島大学の実験で、新型コロナウイルスに30秒照射すると99.99%不活性化させる効果も確認した。 <From徳島新聞2020年12月18日>

マスクについて
冬場の冷たい空気により、鼻の中の体温が下がるのを防ぐのにもマスクの着用が有効とのこと
--鼻の中の温度が、37℃から33℃への低下で、ウイルスが繁殖増大するとのこと

これらのことを考えると、建築物における衛生的環境の確保に関する法律に定められた空気環境管理基準による、気温17~28℃、湿度40~70%の管理は、法適用の特定建築物に限らず必要と考えます。

※なお、建築物における衛生的環境の確保に関する法律による空気環境管理基準では相対湿度40~70%となっていますが、暖房期の冬場においては、室内温度により40%を維持するのが困難なケースも発生します。


また、厚生労働省よりの通知「職場における新型コロナウイルス感染症への感染予防及び健康管理」にも下記のような環境管理に関連する事項があります。

冬場における「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気の方法について
<推奨される換気の方法>

  • 窓の開放による方法
    居室の温度及び相対湿度を18℃以上かつ40%以上に維持できる範囲内で、暖房器具を使用しながら、一方向の窓を常時開けて、連続換気を行うこと。(加湿器を併用することも有効)
    --窓を開ける幅は、居室の温度と相対湿度をこまめに測定しながら調節する。
  • 機械換気(空気調和設備、機械換気設備)による方法
    外気取り入れ量を調整することで、必要換気量(一人当たり毎時30㎥)を確保すること。
    (二酸化炭素濃度が1000ppmを超えていないか注意)
    ※冷暖房設備により、居室の温度及び相対湿度を18℃以上かつ40%以上に維持すること。

以上、室内空気環境管理において、最近目にした注意しておくべき事項をピックアップしてみました