「FCP:備蓄②(日常での備蓄品)」<19>

災害等において、「(自分も含めて)関係する人たちの命が救われること、及び負傷しないこと」は最優先ですが、事前対策として「被災後の生活」についても検討しておく必要があります。

各事業場においては、災害時のリスクマネジメントとして、中小企業庁から「中⼩企業BCP策定運⽤指針」が示されています。
そこには、災害等に遭遇して「事業を如何に継続していくのか?」という課題に対して、事業継続計画(BCP)の作成という方策が示されています。

この指針に示されている内容は、「災害への対応」「被災後の私たちの生活」を検討するうえにおいても参考となる事項が多くあります。
そこで、“生活の継続”という視点で、この指針の内容を検討してみるのも意味のあることと考えます。
(いわば「FCP:Family Continuity Plan」への“試考”といえます)

前回は、「事前対策」における「備蓄①(避難への準備)」についてでした。
今回は「備蓄②(日常での備蓄品)」について考えてみたいと思います。


【非常用に備蓄が必要と考えられるもの】

多くの文献に下記のような備蓄品が示されています
「赤字」は非常持ち出しとして考えられる物です)

貴重品等
  • 免許証・身分証明書類(コピー)
  • 健康保険証、診察券(コピー)
  • 通帳(コピー)、印鑑
  • 常備薬
    --お薬手帳(コピー:非常持ち出し用)
  • 家族の写真
    --離れてしまった家族を探すときに活用できる
  • 緊急連絡先一覧表
  • 携帯電話(充電器含む)
  • 現金(100円玉、10円玉を含む)
    --キャッシュカード、クレジットカード(ATM使用不可の場合)
  • メガネ・コンタクトレンズ
  • その他
非常食品
  • 飲料水(一人1日3リットル)
    --500mlのペットボトルは、常時使うようにすると、ローリングストックがし易い。
  • 主食関係
    --米(アルファ米)、レトルトご飯、インスタント食品、麺など
  • 主菜関係
    --レトルト食品、冷凍食品など
  • その他食品関係
    --カロリーメイト、缶詰、チョコ、氷砂糖、ようかん等
  • 各家庭でのそれぞれの必需品
    --例:乳幼児のミルク等
燃料他
  • マッチ・ライター
  • ろうそく
  • 卓上、携帯コンロ
  • 電池、カセットコンロ&ボンベ
    --使用期限を確認して使用する(確認する年4回程度がよい)

【電池】
必要なサイズと本数を確認しておく。
【カセットコンロ用ボンベ】
湿気と火気のない場所に保管。
備蓄の目安は10本程度。
コンロの耐用年数にも注意。

生活用品

<食事用>

  • ゴミ用ポリ袋
    --蓋付きポリバケツ、ゴミ袋、ほうき
  • ナイフ、缶切り
  • 折りたたみポリタンク
  • 食品ラップ、ポリ袋、ゴミ袋、ジッパー付き保存袋
    --ラップは皿に巻いて使用すると洗い物の数を減らすことができる
  • アルミホイル
  • 紙コップ、紙皿

<衣類>

  • 下着
  • ジャージ、アウトレット用ブランケットなど
  • 防寒器具、防寒具
  • 使い捨てカイロ
  • 紙おむつ/お尻拭き/生理用品

<衛生用品等>

  • 生活用水(飲用以外)
    --水のくみ置き(風呂・洗濯機などを使用)
    ※災害後は、汚水が逆流してきている可能性もあるため、使用には注意が必要です。
  • 上履き、スリッパ
  • 新聞紙
  • ティッシュペーパー、トイレットペーパー、ウエットティッシュ
  • タオル、ローブ
  • 簡易トイレ、消臭剤・凝固剤・消臭袋
  • 口腔ケア(液体歯磨き等)
  • 布テープ
  • 必要に応じて
    --女性用品、介護用品、赤ちゃん用品など

【簡易トイレ、消臭剤・凝固剤・消臭袋】
断水時、また下水管(排水管)が破損している場合、復旧までトイレが使えない事態が発生します。

<寝具類>

  • マット・シート、保温シートなど
  • 寝袋、耳栓
  • 毛布(可能ならば簡易ベッドやマット)

<その他>

  • 文具類(油性ペン等筆記用具、マジックペン、ノートなど)
  • 懐中電灯
  • 予備電池・携帯(スマホ)用充電器
  • 携帯ラジオ(イヤホン)
  • 雨具
  • 裁縫セット
防災用品
  • マスク
  • 救急箱
    --アルコール消毒液、体温計 他
  • 防じんマスク
  • アイガード
  • 手袋(ゴム手袋、軍手)
  • ヘルメット/防災ずきん
  • レジャーシート
    --ブルーシート、ビニルシート及びテープ(すき間閉じ等)
    ※大型のものが何枚かあると便利
  • ホイッスル
作業用工具等
  • バール(てこ用棒)
  • スコップ
  • ペンチ、ハンマー、レンチ
  • 作業用手袋、厚手の靴下
  • 小型ナイフ(多機能ナイフ)
  • 工具セット
    --ペンチ、ハンマー、レンチ、ガムテープなど
その他
  • カメラ(損害記録のため)

フェーズフリーという考え方
以上を日常の生活の中で準備しておくという視点です。

日常の生活で使っているものが、もしもの時に役立つ。
--このもしものとき最低限の生活備蓄を、普段の生活の中で、自然に使え、しかも災害の際には役立つようにしておくという考え方です。
このような視点を持って、日常生活全般を考えていくことがスムーズな防災備蓄につながるものと思います。

(この拙いブログは、まだ災害について十分な実感を持てない筆者自身への「災害意識の駆り立て」でもあり、また「なかなか災害行動へと結びつかない焦り」でもありますが、何か皆様のFCPを考えるうえでのきっかけともなれば幸いに存じます。)