BMドクターG③:中核となる電気設備

『ビル管理のドクターG』
 ビル管理技術者は「ビルの総合診療医(ドクター・ゼネラル)」?!

 古い「ビル防災」の本を眺めていたら、「ビル管理はビルのお医者さん」という小見出しがありました。
 ビルの設備等の維持管理に関する様々な課題が持ち込まれ、それらをカバーしなければならないビル設備管理技術者は、多岐にわたる建築設備の管理に関する知識と資格をカバーするビル運営を支える存在。
「ビルのお医者さん」という小見出し、なかなか的を射ているように感じました。
NHK-BSで放送されていた『総合診療医ドクターG』を模倣して、「ビル管理(BM)のドクター・ゼネラル」と格好をつけてみました。
その理想像も探りながら話題にしてみたいと思います。

『中核となる技術』

今まで、①②で建築物管理における災害・リスクを考えてきました。
地震、台風、火災等自然災害時における、構造・強度・外壁の落下等の建築物に起因するリスクもありますが、建築設備においても大きく下記のように分類され、それぞれにおいて事故災害のリスク要因を含んでいます。

○電気設備による事故災害
  • 感電
    感電による死亡災害等が毎年報告されています
  • 火災
    電気設備管理不備による電気火災についても毎年発生しています
  • 波及事故
    自己設備が原因の場合は、自施設内におけるリスク対応は勿論ですが、波及事故も重大課題となります。
  • 雷への対応
    電気設備において、地震、水損等と並んで大きな課題が雷です。
    直撃雷による被害が大きいと思われますが、雷サージによる絶縁破壊をはじめとする種々の障害が考えられます。
    瞬時電圧低下による機器の停止もあります。
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雷はヒヤヒヤものです!
電気設備管理関係の先人達は、雷の発生を予期すると、拠点に帰り異常通報に待機するということを言われています。

○空調換気設備における事故・災害
  • (人の活動環境における)空気に関連する事故・トラブル
    例:排煙排気の不完全による一酸化炭素中毒
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空気環境に関するクレームは、日常において最も多いトラブルと思われます

○給排水衛生設備
  • 飲料水関係事故
    例:飲料水汚染(クロスコネクション等)
  • 排水関係における事故
    例:硫化水素
  • 水系統のその他のトラブル
    --水配管の漏水・破裂等による水損の発生
    --消火活動による水損
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人の生活環境における水に関するトラブルは、即健康被害に関わるケースとなることが考えられます

○燃料関連事故・トラブル
  • 爆発
  • 中毒
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発生すれば被害甚大です

○消防防災設備関係事故
  • 自動作動シャッターによる事故(防火シャッター)
  • 排煙不完全
  • 防災防犯設備の不備によるトラブル
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○その他建築設備関係事故
  • 火災時等における排煙等建築に依存するリスク
  • 昇降機等各種設備による事故・トラブル
    --エレベーター等昇降機事故
    --シャッター、扉関係の事故
    --駐車設備に関する事故
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以上は思いつくままに、事故・トラブルを列挙してみましたが、挙げれば切りがありません。
(多くの犠牲・損失のもと、貴重な事例として、個々の改善が積み上げられてきています。)

そして、これら建築設備事故への対応において、駆動・制御・情報系で電気設備が関係しています。
故に、事故災害の予防及びその発生時における「電源供給の確保」は、火災、水害等施設の機能不全を引き起こす課題と共に、設備管理における最重要課題のひとつです。

【電源供給の確保】
・電気の供給が無ければ建築物は機能できません。
--ただの箱となってしまいます(どこかで聞いたフレーズですが--)
・東日本大震災における福島原発事故での制御電源の喪失は大きな教訓です。
--また、現在はその電力の不足が大きな問題となっています。

以上の設備管理上の課題については、いろいろな技術的工夫・診断技術等が検討され施術されていますが、“BMドクターG” としては避けて通れない電気主任技術者の技術領域です。