「通達」と「安全配慮義務違反」について

−−雑誌「安全と健康2000年8⽉」平成11年3⽉30⽇⼤阪⾼裁判決:コメントより−−

☆「厚⽣労働省内の通達」と「安全配慮義務」との関係について

労働安全衛⽣法の規定を受けた通達において、事業者の実施事項について⾔及している場合、それは事業者が何をしなければならないかを厚⽣労働省が⼀線の監督機関に具体的事項を⽰したものであります。
裁判所はそれに拘束されるものではありませんが、裁判所が労働災害防⽌義務の具体的内容に相応しいと判断した場合、その内容が⽣かされることになります。
そして現に、安全衛⽣の専門⾏政庁としての判断として採⽤される傾向にあります。

このことは、⾏政機関が罰則等をもって強制的な実現を図るものではないいわゆるガイドライン的な通達も、安全配慮義務の内容になる可能性が⾼いことを意味しています。

また、通達等だけでなく学会の動向も「予⾒可能性」の判断根拠になり得るという傾向から考えますと、事業者が安全配慮義務を全うしようとすれば、通達だけでなく学会等の動向にも注意を怠らないことが求めらることになります。
事業所としては、労働災害防⽌のため、重要情報は漏れなく⼊⼿し、対策を講じることが法的義務であると認識し、その⼊⼿に極⼒努⼒することが求められています。

つまり、法規制事項だけでなく、広く関連事項についても絶えず目を配り、対策を講じていなければ法違反につながる可能性が⼤きくなるということです。