リスク見積りの結果による“リスクの大きさ”をもとに、“リスク低減対策”を検討していきます。
リスクの洗い出しとともに、リスクアセスメントにおけるポイントとなる項目です。
リスク低減対策は、可能な限り次の優先順位での実施を検討します。
<順位1>法令で定められた事項の実施
(法令に該当事項がある場合)
法令で定められた事項がある場合には、それを必ず実施する。
(これには法規制に準ずる基準等も含まれます)
<順位2>設計や計画の段階における措置の検討
危険な作業の廃止・変更、危険性又は有害性の低い材料への代替、より安全な施工方法への変更等の検討。
①初めから危険源が無いように設計する
②危険源による危害の大きさを小さくするように設計する
③危険源に修理等で人間が近づく確率を下げるように信頼性を高く設計する
<順位3>工学的対策の検討
ガードの設置、インターロックの設定、安全装置の設置、局所排気装置の設置等の検討。
例『離隔の安全』『停止の安全』
上記「工学的安全防護方策」に加えて、「付加保護方策」も検討される。
例『非常停止装置』
(この付加保護方策は人が介在することにより成り立ち、人の行動の不確実性の要素を含んでいる。)
<順位4>管理的対策の検討
作業手順の整備、立入禁止措置、ばく露管理、教育訓練等の管理面・経営面における対応の検討。
<順位5>個人用保護具の使用検討
上記対応でも除去・低減しきれないリスクについて、最後の手段としての検討。
リスク低減対策の実施については下記の注意事項があります。
- リスク低減対策に要する負担(費用等)がリスク低減対策により得られる効果よりも大幅に大きく、リスク低減対策を実施することが著しく合理性を欠く場合を除き、可能な限り優先順位の高い低減対策を実施すること。
- 死亡、後遺障害または重篤な疾病をもたらすおそれのあるリスクの低減対策に時間を要する場合は、暫定的な措置を直ちに実施すること。
- リスク低減対策の実施項目が決定すれば、作業性、生産性や品質にどのような影響を及ぼすかの関係部署への相談・理解・調整が必要となりますが、「“安全第一”の方針」を堅持すること。
- なお、リスク低減対策の実施導入後、早い時期にその効果等についての確認をすること。
なお ISO45001においては、「リスク管理策」の優先順位として下記のように示されています。
①危険源を除去する
②危険性の低いプロセス、操作、材料又は設備に切り替える
③工学的対策を行う及び作業構成を見直しする
④教育訓練を含めた管理的対策
⑤適切な個人用保護を使う
リスク低減対策は、リスクの大きな作業等に対して優先的に検討・実施していくことが原則ですが、対象としているマトマリ作業全体のリスクを把握したうえで、危険源の区分けごとに検討した方が合理的な対策となる場合も考えられます。