労働災害の原因の9割はヒューマンエラーが関わっているという分析結果が出ています。
人が潜在的に危険な状況に遭遇したとき、事故の発生を回避できるか否かをヒューマンファクタの視点から捉えると、一般には下記のような能力に依存することになります。
<危険の感知能力>
危険な状態に遭遇したとき、人がその危険を危険と感じするか否かは、その人の持つ知覚や感覚、警戒心といったものに左右されます。
もしも、“危険”を検知できなければ、事故につながる危険な行動をとり、事故の発生に至る可能性が高まります。
<危険の認識能力>
危険な状況を“危険”であると感知し、その危険性を認識できれば、危険を回避するための行動に移る決断をすることができるようになります。
しかし、危険性をどう認識するかは、その人の知的能力や経験あるいは訓練といったものに左右されます。
したがって、人によっては危険性を十分に認識できないまま事故に至ってしまう恐れもでてきます。
つまり、危険を認識して危険回避のための行動を決断をするか否かは、その人の経験、訓練、態度、動機付け、などに左右されることになります。
<危険の回避能力>
危険の回避を決断しても、その人に危険回避できるだけの能力がなければ、安全確保のための十分な行動がとれないので、タイミングが悪ければ事故に至るということになります。
(人の危険回避能力は、体格や運動能力などにも左右されます。)
特に緊急重大な状況に際しての危険回避においては、その人の経験と知識をフルに活用しなければならない局面となります。
このように、危険な状況のもたらすリスクを回避する可能性は、ヒューマンアフターと深くかかわっています。
この「感知」「認識」の段階における「危険予知(KY)能力」を向上するのに、「危険予知訓練(KYT)」と、日常での実践である「危険予知活動(KYK)」が大きな意味を持つことになります。
そして、特にヒューマンファクターに関しては、最終的には個々人の判断と実践に委ねられるということになります。
つまり、作業行動に起因する災害を防止する(危険を回避し安全行動を取る)ためには、一人ひとりの危険に対する感受性を高める「1人危険予知」の訓練&実践が重要なポイントになります。