厚生労働省指針『職場における腰痛予防対策指針(略して「腰痛指針」)』
(平成25年6月18日:基発0618第1号)
<腰痛>
- 特異的腰痛:椎間板ヘルニアなどの原因が特定できる腰痛
--全体の約15% - 非特異的腰痛:原因が特定できない腰痛
--全体の約85%
腰痛予防には、「動作要因」「環境要因」「個人的要因」「心理社会的要因」に対する総合的な対策が必要である。
腰痛の発生は、作業により多種多様であり、それぞれの作業ごとにリスクを洗い出し、それらのリスクに即した取組みを行う必要がある。(リスクアセスメントの実施)
【重量物取扱い作業:メモ】
- 取扱い重量値を、満18歳以上の男性では体重の約40%以下、満18歳以上の女性ではさらにその約60%の重量までとする。
--ただし女性は、女性労働基準規則により、断続作業において30kg、継続作業において20kg未満の重量値に収まるようにしなければならない。 - 物を持ち上げる姿勢
--腰ではなく “脚で荷物を支える” という意識 - リスクアセスメントの実施において考慮される指標例
(米国労働安全衛生研究所の推奨考慮項目)
「重量」「水平位置」「水平移動距離」「垂直位置」「垂直移動距離」「ひねりの角度」「頻度」「把持のしやすさ」 - 重量物の取扱い作業においては、「ISO11228-1に基づくリスクアセスメント」がある。
【立ち作業:メモ】
- 作業台の高さの原則は、腰を曲げないで直立姿勢をとり、肘を90度に曲げた高さを基本とする。
- 同じ姿勢を続けないため、他作業との組合せ、片足置き台使用も考慮する。
また、立位と座位の交互姿勢変更も考えられる。 - 1時間当たりに1~2回程度の小休止・休息を取る。
- クッション性のあるマットや靴の使用。
【座り作業:メモ】
- 椅子は、座面高を足の裏全体が着く高さに調節する。
--その際、座面が太ももの裏側を圧迫しすぎないように注意。 - 背もたれは、後方に傾斜させ、倒しすぎず、直立させすぎずに設定。
肘掛けは、肘の曲げ角度が約90度になるように設定。
机や作業台は、肘の曲げ角度が90~110度くらいの高さとなるようにする。 - 座るときの椅子と机の位置関係は、座面深くに腰掛け、背もたれで体を支え、足の裏全体が床に接するようにする。
足下は、膝や足先が自由に動かせる空間を確保する。 - VDT作業では、キーボードの操作等で、前傾姿勢となりがちであるが、腰部の椎間板にかかる圧力は、立位姿勢に比べて、座位姿勢では1.40倍、座位の前傾姿勢では1.85倍になるといわれている。
従って、座位姿勢・VDT操作の長時間作業では、立ち上がって腰を伸ばすなど、適宜姿勢を変えることが必要である。
【車両運転:メモ】
- 運転座席は、多くの点で体を支えること、腰椎の前彎(ぜんわん)を保つこと、太ももの裏側を圧迫し過ぎないことが重要。
--運転手の体は、腰にかかる負担を分散させるため、背もたれや肘掛けなど、できるだけ多くの部分で支える。
--背もたれは、体をしっかりと支えるため、倒しすぎないようにする。
--太ももの裏側が圧迫されると感じる場合は、座席をハンドル方向に近づける。 - 連続運転時間は4時間を超えないようにし、休憩をこまめに取る。
--長時間の同一姿勢に振動が加わることで、腰痛が発生しやすくなる。
--休憩時間中は、外に出て、体の姿勢を変える(体操等も有効)。 - 積み卸し等の作業は、運転後の小休止後に行う。
--少し時間を置き、その間、作業に掛かる体の準備をする。