レジリエンスについて

レジリエンス(resilience)

システムが、想定された条件や想定外の条件の下で、要求された動作を継続できるために、自分自身の機能を、条件変化や外乱の発生前、発生中、あるいは発生後において、調整できる本質的な能力のこと。
※外乱:秩序ある動作状態や平衡状態などを乱すシステム外からの作用

レジリエンス・エンジニアリング

システムがレジリエントでるための要件、システムのレジリエンスを評価する手法、レジリエンスを高める方法などを研究し、その知見を実践的に応用する分野

レジリエントなシステムに必要な4つの能力
(from「安全と健康2019/8」立教大学名誉教授 芳賀繁氏記事)

組織がレジリエントであるためには、「対処」「監視」「予見」「学習」という4つの本質的能力が必要。

  • 対処
    (脅威であれ好機であれ)事象が発生した場合にタイムリーに効果的な対処を行うことができる能力
  • 監視
    自分自身のパフォーマンスと外部環境の両方について柔軟にモニタリングする能力
  • 予見
    システムパフォーマンスに影響を及ぼすかもしれない事象、条件、状態変化を知っていて、予期できる能力
  • 学習
    過去の経験から学んで未来のパフォーマンスを改善できる能力

    その経験は失敗だけでなく、うまくいった経験からも学ぶことで学習機会が格段に増える

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★メンテナンスとの関連

「外乱があっても、なくても、維持する潜在的能力」という論点において、レジリエンス或いはレジリエンス・エンジニアリングはメンテナンス業務に新しい視点を与えていると思われます。
上記「レジリエントなシステム(組織)に必要な4つの能力」は、メンテナンス業務を簡潔に要約してくれています。

レジリエンス・エンジニアリングにおける安全マネジメントの考え方
(from「安全と健康2019/8」立教大学名誉教授 芳賀繁氏記事)

【従来の考え方】

  • システムの構成要素の中で人間が最も脆弱
  • 事故の大半はヒューマンエラーによって起こる
  • ヒューマンエラーを分析して対策することがシステムの安全確保に最も重要
  • エラーを起こしにくい作業方法を決め、それを守ることで事故を防止できる

【レジリエンス・エンジニアリングの考え方】

  • システムは本質的に危険なモノ
  • 人間と組織の柔軟性がシステムを安全に機能させている
  • 成功事例や日常の業務実態の分析が参考となる
  • レジリエンスを高める方策が安全確保に重要

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★「欠点修正」と「長所伸展」

レジリエンスの考え方は、人間が関与する事項、中小企業の運営においては[人間力][現場力]等として捉えられていることにも通じる面を感じます。
また、経営面においては「長所伸展」と言われている内容にも通じるように思います。