② リスクアセスメントの実施手順について

リスクアセスメントの実施及びリスク対応策の手順は基本的には以下のようになります。

<手順1>労働者の就業に係る危険性又は有害性の特定

対象とした範囲(作業等)において、作業手順書などをもとに、人と「危険性又は有害性(危険源)」との関わりを洗い出していきます。
※その前提として、(対象とする範囲における)作業の把握に漏れがないかの検討が必要となります。

事業場における「作業」の把握に抜けがないか(全体の作業を網羅できているか)、そして関わる「危険源」をどのように把握しているか、つまり「作業を網羅し危険源との関わりを整理すること」が始点となります。

<手順2>特定された危険性又は有害性ごとのリスクの見積もり

事業場で定めた手順に従い、リスクの大きさを見積もります。
※いろいろな見積り手順が示されていますが、事業場に適した方法を検討し採用します。

<手順3>見積もりに基づくリスクを低減する優先度の設定(リスクの評価)

見積もった結果に基づき、リスクレベルを評価します。

<手順4>リスク低減措置の検討

評価したリスクレベルをもとに、定められた実施手順(3Step Methodが基本)によりリスク低減対策を検討します。
※対象とした範囲のリスク評価について、その全体を把握した上で、どのように対応するのがよいか検討をする必要があります。
(危険源の種類毎に対応する等が合理的な場合もあります)
(作業の工程変更で、危険源を考慮しなくてもよくなる場合もあり得ます。)

<手順5>優先度に対応したリスク低減措置の実施

(基本的に)リスク評価レベルの高いものから、リスク低減措置を実施します。

<手順6>残留リスクについての対応

リスク低減措置を実施できなかった事項、或いは実施しても「許容リスクレベル」まで下がらなかった事項については、日常における管理レベルでの対応を検討します。
※上記リスク低減対策の実施が基本ですが、この残留リスクへの対応を管理的手法でカバーするしかない職種も多く存在します。

この残留リスクの管理においては、リスクが高ければ高いなりの、低ければ低いなりの管理を継続する必要があります。

<手順7>実施したリスクアセスメントの再評価

実施したリスクアセスメントの結果について、「新たなリスク要因が発生していないか」或いは「リスクの低減状況」について、再評価を実施します。
(次のリスクアセスメント実施時に、基準の見直し等に活用していきます)

※この管理のサイクルを回すことによりリスクへの対応は深化していきます。

なお、この前段階として、「実施体制の構築」「実施時期の検討」「実施情報の入手」という準備過程が必要となります。

※事業場における作業内容を漏れなく把握しておくことが前提です。

  • 実施体制の構築:経営トップによるリスクアセスメント実施の意思明示と安全管理体制および職場階層の役割の明確化
  • 実施時期の検討:新しい作業開始、或いは作業内容の変更等でリスクに変化が生じたとき、事故発生時等予め設定しておく
  • 実施情報の入手:作業手順書、機械の取扱説明書等の実施対象のリスクアセスメント実施に関連する情報を入手しておく

以下順次 概略説明していきます。