10月11日未明、福岡市博多区住吉の医院で、入院患者ら10人が一酸化炭素中毒で死亡した火災事故。
この火災事故には多くの考えさせられる“問題点”が浮き彫りにされているように思います。
「多くの専門家が保守、工事等に関わっていることが考えられるが、それらの人達はどう対応していたのか?」
「病院側の施設運営における取組み姿勢は?」
「消防法と建築基準法の接点における運用は?」
問題を一つひとつ取り上げていくと、単純に見えますが--。
これらの問題点を、これから数回にわたり筆者なりに考えてみたいと思います。
(独断独善の要素が多々あると思います。 ご容赦ください)
<電気火災>
最近は、電気に起因する火災は少なくなりましたが、電気設備は基本的にハザード(潜在危険性)を持っています。
(このハザードが、電気配線として建物内に神経回路のように張り巡らされていると考えることができます。)
今回は、このハザードが「プラグのショート」となって現れました。
--長年の使用でホコリが付着し、それが湿り気を持って、極間にわずかな電気が流れ、プラグ&コンセント周辺を炭化させていく“トラッキング現象”が思い浮かびますが、それが原因であったかの詳細は不明のようですが、出火原因は「プラグのショート」とされています。
コンセントからの抜き差しが少しでもあれば、ホコリの除去は行われたかも知れませんが、そのような状況でもなくコンセントに刺されたまま年月が経っていたこの状態を、「誰がリスクと認識し、その対処を考えるのか」ということです。
この医院は、多分、電気事業法における自家用電気工作物に該当、電気主任技術者が選任されていたと思います。
どのような形態で選任されていたか(専任、外部委託等)は不明ですが、電気主任技術者の機能は果たされていたのか?--とも考えます。
電気主任技術者の業務は、電気工作物の保安管理であり、電気保安規程にもその内容が記されているはずです。
現実問題として、停電しての絶縁抵抗測定は負荷側の理由により難しいケースが多いと思われます。
低圧負荷の細部までの点検も難しい面があると思います。
当該機器の電源側に漏電遮断器が設置されていたいたかも不明です。
また、電気設備の巡回点検で、危険箇所として点検報告書に記載され、病院側への説明もされていたのかも不明です。
このような設備の状況は、至る所に存在すると考えられます。
問題は、誰が気づき指摘するか?です。
すべての責任を施設代表者のみに帰するのは酷なような気もします。
専門家としての誇りと義務(ノーブレス・オブリージュ)は存在すると信じます。
専門家が受注競争のみに走り、その管理品質をおろそかにするような事態は厳に慎まなければならないと思います。
また、オーナーサイドの人たちにも、今回の院長の悲痛を感じ取り、日常の設備管理の重要性を認識していただきたいところであります。