STAP細胞 期待と落胆

STAP細胞とは
刺激惹起性多能性獲得(Stimulus-Triggered Acquisition of Pluripotency)細胞の略称だそうです。
哺乳類の体細胞に外部から刺激を与えるだけで、STAP細胞に変化するというもので、これまで発見されているES細胞(胚性幹細胞)やiPS細胞(人工多能性幹細胞)といった多能性細胞と比較してその作製法が容易ということで、再生医療等への貢献の可能性が大きいと“期待”されたということです。
しかし、その後、追試実験が成功しないことや論文の記載に多くの不備があることが指摘され、研究不正があったかどうかの内部調査が行われ、STAP細胞の存在の疑問性が増大しています。
大いに“期待”したのですが、それが“落胆”に変わりました。

ETA(Event Tree Analysis:事象の木解析)というのは、事故のきっかけを想定して、それによってどのようなことが起こるかを次々に考えていくという手法です。
安全衛生活動のKY(危険予知)活動と同じ手法です。

  • STAP細胞によって、いろいろな可能性を想起し、未来への“期待”を大きくしました。

思考は時間軸を先行していきました。

FTA(Fault Tree Analysis:故障の木解析)というのは、そのような出来事が起きた条件を考え尽くす手法です。
安全衛生活動の「なぜなぜ分析」の手法です。
「なぜそのようになったのか?」という「なぜなぜ」を繰り返して、その真の原因へ迫るという手法です。

  • STAP細胞は存在しなかった “落胆”! なぜ大々的に発表されたの? ということが追求されました。

思考は時間軸を後戻りしていきました。

いろいろな考え方のパターンがあると思うのですが、ETAとFTAは原因と結果の過程(出来事の連鎖:因果の関係)を明らかにしていくというのに便利な手法のひとつです。

因みに、(独)産業技術総合研究所デジタルヒューマン工学研究センターの中田亨氏は、朝礼にはETA、夕方の反省会にはFTAが向いていると言われています。