6月24日 藤原直哉氏の「みんながリーダー」
「企業犯罪を犯す組織文化」と題して話されています。
今後の組織のあり方についての基本姿勢を示してくれているような内容です。
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東洋ゴム工業の免震ゴムに関する不正事件で、社外調査委員会の言として「不祥事の風土がある!」という厳しい指摘がなされている。
「不祥事の風土」とは、嘘をついてでも成功していることを取り繕う組織!
実はこの「不祥事を犯す企業文化」というのは、そう珍しいものではない。
企業文化の中に「依存文化」というのがある。
依存文化
この文化の特徴についてリーダーシップの教科書よりピックアップすると
- 階級的に管理され、人々の参加意識はない
- 意思決定は中央集権的で、人々は言われたことのみをやり、すべての意思決定について 上司の承認を仰ぐ。
- メンバーはやらなければならないことはするが、必要最小限の成果しか出すまいとする。
- メンバーは是非もなく目標を受け入れる
- 何をするかは予測可能で有り、決して上司に逆らわない。やるべきことだけをやる。
- よいフォロアー(追従者)であろうとする
- 行動する前にすべての人に何を考えているのかを聞く
- 権力を持っている人を喜ばせる
- たとえ間違っていても、命令には従う
--企業犯罪の直接的な温床となる要素 - 上司に決定をチェックしてもらう
- 自ら進んで命令に従う
このような組織は、階級のトップに権力を集中し最高の効率性を達成するという根本的な考えを持っている。
極端な場合には組織は恐怖と脅迫によって運営される。
また、これに類似するような文化は、自由裁量の余地が少ない組織にも強く出る。
そして従順性を高めるために罰則が使われる。
この文化が引き起こす悪い結果は、個人の考え方と組織の意志との対立である。
→これは今大きな問題となっているメンタルヘルスの課題にもつながる
反対に、依存性の強い人たちにとっては、安心できて居心地がよい組織になるかもしれない。
この文化を持つ組織は、当然に「非定型的な課題への対応力」が弱くなる!
このような文化になってしまったら、教育によって直すことは難しい面がある。
解体に近いことをしなければ直らないことも多い。
一方で「人間性促進文化」というのがある
人間性促進文化
積極的イノベーションと横のつながりのある明るく温かい文化であり、
この文化の特徴についてもリーダーシップの教科書よりピックアップすると
- 従業員重視型の管理スタイルであり、メンバーは互いに支え合い助け合うことが期待されている
- 対立を建設的に解決する
- 人が成長し、能力が高くなっていくことを助ける
- 人が自分自身のことを考えるのを助ける
- 人に対して高い価値を置いている
- 持続的な成長、能力の向上、メンバーの個人的幸福が組織にも大切であるという認識がある
- 組織の意思決定は部下と上司の影響力の両方を最大化するように行われる
- 指針や支援を与える
- チームワークの推進
- 自由裁量、そして人間の能力を尊重して仕事を決める
- 仕事で人間性を促進することが期待される
- 業績が不十分な場合には、罰するのではなく、問題が正されるように試みられる
この組織のメンバーは、普通に要求される以上の行動を喜んで取ろうとする。
サービス重視で、お客との積極的な関係に重点を置いている
以上のように2つの文化を比較すると、「人をいじめてできること」よりも「人を楽しくさせてできること」の方が遙かに大きいことが理解できる。
この人間性促進文化は甘ったるい文化ではなく、ある意味厳しい文化であり大変かもしれない。
依存文化は形の中に嵌まって、失敗さえしなければとがめられない文化と言えるかもしれない。
今、組織文化というのが非常に重要になってきていて、企業文化一つで直面する様々な課題への対応が変わってくる。
これからの社会はこの人間性促進文化でなければ、イノベーションをして乗り越えられないということになる。
しかし、依存性文化の企業が人間性促進文化を教えるはずがないので、人間性促進文化は企業の外で学ぶしかない!
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引用が長くなりましたが、非常に興味のある内容です。
当ブログは「就業」ということをひとつのテーマとしています。
仕事をして生計を立てていくということは、それぞれにとって人生の大きな課題であります。
また長年仕事をしてきた人は、仕事(働くということ)についてそれぞれに貴重な一家言を持っておられると思います。
長年働かれた人の経験は社会の貴重な財産でもあります。それらを次代へと伝え、そして創造的な活動ができる文化へと結び付けていくということは経験者の使命ではないかという思いがあります。
次代への価値基準として、藤原先生の今回の内容はいろいろな示唆を与えてくれていると思います。