武藤北斗著「生きる職場」
--「小さなエビ工場の人を縛らない働き方」--
雑誌の「図書紹介」欄で興味を持ち、読んでみました。
「パプアニューギニア海産」という社名と、その会社の工場の把握に最初戸惑いましたが、著者の誠実なエビ工場経営への努力が綴られています。
誰もが心の底で思っているであろう 「“仕事のしづらさ” への不満」に正面から取り組んでおられます。
「好きな日に働く」
--そんなのできるの? という興味が湧きます
結果は、「なるほど」です
しかし、時間が決められているような仕事には不向きだよね?! という疑問
だがそのような職場でも、武藤氏流に別の解決策があるのでは?
皆は、武藤氏のように掘り下げていないのでは!? という思いが出てきます。
「嫌いな仕事はしない」
--これも同じで、仕事となればそうもいかないでしょう?! という疑問
結果は、「なるほど」です
皆は、まだ武藤氏のようにそこまで分析していない!? という思いもします。
等々、若い誠実な経営者の、石巻市での東日本大震災被災後の努力が綴られています。
著書の最後の 「おわりに」のコーナーで、下記のように言われています
僕たちが生きるこの社会では、常に経済が最優先にされ、右肩上がりの成長を求め続けられています。
その中で、人を縛り争うことが常態化し、多くの人たちが疲弊し、この先にある未来に希望が持てなくなっているのではないでしょう か。
子育て、老後、職を失ったとき、病気をしたとき、いろんな場面を想像すると生きていくのが不安になりませんか。
しかし今の社会ではその不安を払拭するために、助け合うのではなく、相手を縛り、管理する。
味方を作るのではなく、争い、相手を制する。
そんなことで安定を図ろうとする矛盾が、僕たちの暮らしの中に蔓延しているように感じます。
この思いは、当筆も今まで感じていたことであり、その経営観に共感します。
この工場が話題となった“ことの起こり” は、新聞への投稿であり、それを読んだ人のツイッターでの呟きであったそうです。
ネット上で相当話題になっている有名な会社であることを知りました。
ホームページを拝見しますと、親しみやすい人格の経営者です。
このようなリーダーが今後社会を引っ張っていってくれることを期待したいです。
時代・価値観の移り変わりを感じる、さわやかな読後感の考えさせられる本です。