“不注意” について

道を挟んだ駐車場に車を止め、自宅へとその道路を横断するとき、横から来る自転車に気づかず、最接近してから「ハッ」としたことがありました。
“年のせい” で注意が散漫になったのでしょうか!?
(そうかもしれませんが---)

「不注意!」
濵田勉氏著の『主なき安全』に、「注意は四つのカテゴリーに分かれる」と示されています。

  • 注意の選択
  • 注意の活動
  • 注意の持続
  • 注意の範囲

この本の中で、「注意の選択」について面白い例が示されています

「注意は選択される」
昔、濵田氏が地下鉄の駅を取材したときのできごと---
駅の自動発券機に、「発売中止」の張り紙
大きな字でしかも目の前に貼ってあったのに---
ある女性は3回もお金を入れたと言う話

切符を買うときの行動(手順)は---
まず、上にある「目的地の料金を確認する看板」を見ます
金額が分かったら、お金を取り出して「お金の投入口」を見て、お金を入れます。
(発券機が正常ということは大前提です。動いていないなどとは考えていません。)
つまり、「発売中止」は飛ばされ、3回もお金売れを繰り返した!
それくらい注意は選択されるという事例です。

「注意の活動」
「人間の注意はその瞬間ごとに一つのものにしか払えない」といわれます。
一方に注意を向けると、その瞬間、他方は不注意になります。
これが“人間の注意”というものだといわれます。

私の上記「ヒヤリ・ハット」は、「前方を選択し、そこへ注意を向けていた」ということになります。

「注意の持続」
そして、仮に、注意を払っていたとしても、それは長続きしません。
ずっと緊張していたら、ストレスで身体に異常を来してしまいます。
人は自然に「意識ぼけ」の方向に向かうのが正常!
これは、「自己防衛」なのです。

普段はリラックスの状態で仕事等をしており(慣れてくるとこのような状態で仕事をするようになります)、何かことが起こるとハットして意識を明晰状態(緊張状態)に戻すというパターンで過ごしています。

「注意の範囲」
これも電車通勤での面白い事例で示してくれています。
社内放送
「まもなく○○です。お気を付けて、扉にご注意下さい---」
雨の日は、上記放送の後に、「傘!」と怒鳴る。
--これが車内での傘忘れを防ぐ提案だそうです。
必要な時に、タイミングよく意識レベルを上げる(注意の範囲を傘まで広げる)方法ということです。

人は大抵、自分の思うことを行動に移そうとして注意を払いますから、それ以外のところは全部不注意となります。
事故が起きたとき、「不注意だった」と決めつけずに、そのとき注意がどこに向いていたのか?を冷静に考える。
そして、できれば、他のことに注意を払わなくても安全であるように配慮してあげるという“環境整備”も必要です。
そして、必要な時には意識を喚起してあげるという配慮も--

上記私のヒヤリ・ハットについては、自作自演のケースですから(周りに人が居れば注意を払ってもらうということも考えられますが)、「横断前の一呼吸」というような自覚の問題になりそうですが--