災害等において、「(自分も含めて)関係する人たちの命が救われること、及び負傷しないこと」は最優先ですが、事前対策として「被災後の生活」についても検討しておく必要があります。
各事業場においては、災害時のリスクマネジメントとして、中小企業庁から「中⼩企業BCP策定運⽤指針」が示されています。
そこには、災害等に遭遇して「事業を如何に継続していくのか?」という課題に対して、事業継続計画(BCP)の作成という方策が示されています。
この指針に示されている内容は、「災害への対応」「被災後の私たちの生活」を検討するうえにおいても参考となる事項が多くあります。
そこで、“生活の継続”という視点で、この指針の内容を検討してみるのも意味のあることと考えます。
(いわば「FCP:Family Continuity Plan」への“試考”といえます)
前回は、「事前対策」における「備蓄③(非常持ち出し品)」についてでした。
次に、BCPにおいては、業務継続のための「生産(サービス)項目の代替方法の事前検討」という項目がありますが、FCPにおいては省き、また「情報発信・収集」の項目も「安否確認」に含まれると考えられますのでスキップすることにします。
そこで今回は、「重要データの保管」「資金面の確保他」について考えてみたいと思います。
「災害時の貴重品」については、今まで、
「日常の備えとして整理しておくべき貴重品(非常持ち出し品としても考慮すべき貴重品)」として下記を挙げました。
これらが「重要データ」「資金面」とも関係してくると思われます。
- 免許証・身分証明書類(コピー)
- 健康保険証、診察券(コピー)
- 通帳(コピー)、印鑑
- 常備薬
--お薬手帳(コピー:非常持ち出し用) - 家族の写真
--離れてしまった家族を探すときに活用できる - 緊急連絡先一覧表
- 携帯電話(充電器含む)
- 現金(100円玉、10円玉を含む)
--キャッシュカード、クレジットカード(ATM使用不可の場合) - メガネ、コンタクトレンズ
- その他
BCPの「重要データの保管」「資金面の確保」についての記事から、FCPに関連すると思われる項目を拾い出してみます。
【重要データの保管(データのバックアップ等)】
- 紙媒体の耐火金庫等への保管
- 紙ベースの管理から電子データの管理への転換
- データバックアップのルール化
【事例案 他】
*情報セキュリティに注意!
(情報の機密性には注意する)
バックアップデータの保管場所に注意
持ち出し可能なノートパソコンの利用もその一つ。
他の場所にも複数保管しておく。
*災害時においても、それらのデータ等で活用する必要のあるモノについては、その方法等を検討しておく。
*重要データは常に整理・整頓された状態となるようにしておく。
*クラウドサービス
データを、クラウドサービスを提供している事業者のシステムを利用して、パソコン等から利用できるようする。
【資金の確保】
災害から復旧に当たっては、それに取り組むための資金が必要となります。
予めその資金について検討しておくことも重要です。
- 損失額のシミュレーション
収入がない場合のシミュレーションを事前に検討しておく
--1週間、半月、1ヵ月--- - 調達可能金額の検討
どの程度の金額がどのような手段により調達可能かを検討しておく。
--金融機関への預入金の把握
--保険の利用状況の把握
定期的な必要資金の把握・見直し - 資金調達方法の検討
各種保険・共済についての検討
--地震災害保険 他
現在入っている損害保険の付保状況を把握しておく
--どの被害に、いくら保険金が支払われ、また免責金額はいくらか?
各種支援制度等の事前検討
--融資、信用保証、共済貸付、保険 等
被害の状況にもよりますが
銀行等の復旧が遅れることも考えられます。
「重要データ」「資金面」については、各家庭により相違があるためか、防災関係の本にはあまり取り上げられないのですが、
上記に例示した「日常での整理しておくべき貴重品」とも関連させて、BCPにおける検討項目を参考に、考慮しておく必要があると思います。
(この拙いブログは、まだ災害について十分な実感を持てない筆者自身への「災害意識の駆り立て」でもあり、また「なかなか災害行動へと結びつかない焦り」でもありますが、何か皆様のFCPを考えるうえでのきっかけともなれば幸いに存じます。)