平成26年6月に公布された改正労働安全衛生法により、平成27年12月より「ストレスチェック制度」が実施されるようになりました。
制度の目的は「労働者のメンタルヘルス不調の未然防止」ということで、労働者自身のストレスへの気づきを促すことと、ストレスの原因となる職場環境の改善へとつなげることとなっています。
労働者数50人以上の事業場に適用され、50人未満の事業場においては当分の間努力義務となっています。
(つまり、全労働者を対象としているということになります)
厚生労働省の資料によりますと
「強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者は、ほぼ6割程度」となっています。
昭和57年には約50%でしたが、その後増え続け平成9年には60%を超え、その後ほぼ60前後で推移しています。
(つまり、昭和57年においても、半数の人が働くうえにおいてストレス等を感じていたということになります。)
働く場は「ストレスの場」ということです。
働く者にとっての職場は「厳しい環境」ということになるのでしょう。
コンピューター社会、情報化社会が進んで、管理が厳しくなってきたのでしょうか?
最近の国際情勢を見ていると、先が見えない状況であり、ますます厳しい社会情勢になるかもしれません。
これでは、社会が潰れてしまいます!
このような状況下においてこの制度は生まれたということになります。
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制度としては、同じ会社で働くことを前提としているため、企業への復帰のためのいろいろな施策が検討されているようです。
しかし、ストレスが大きく、精神的ダメージも大きな場合、その不適合な組織を離れるという選択肢もあり得ます。
--寧ろ、職場を離れる(つまり会社を辞める)方が良いケースも多いと思いますが、公にはそのような無責任と映るようなことは言えないのでしょう。
経営者或いは管理者に対しては、組織の労働環境の改善という方向性が示されています。
しかし、これは多分に経営者或いは管理者の判断に委ねられています。
反省してその結果を活かすことのできる経営者或いは管理者であることが前提とされます。
ブラック企業的価値基準を持っている経営者なら無視するかもしれません
考えるに、ただストレスをチェックして、それを少なくする施策を企業内で講じるというだけでは解決しないようにも思えます。
私たちの“働くということ”についての価値基準を根本的に変る必要があるのではないかとも思えます。
とにかく、貴重な資源、エネルギーを投入しての制度運用になると思います。
この制度を有効に活用して、働くということが心からの喜びと感じることのできるような社会へと向かって欲しいものです。
厳しい環境におられる人には「何を甘いことを言うのか」と反発されるかもしれませんが---
「もっと豊かな心で働くことはできないのか?」という疑問が自然と心に湧いてきます。