「FCP:安否確認について」<11>

災害等において、「(自分も含めて)関係する人たちの命が救われること、及び負傷をしないこと」への努力傾注は最優先事項ですが、事前対策として「被災後の生活」についても検討をしておく必要があります。

各事業場においては、災害時のリスクマネジメントとして、中小企業庁から「中⼩企業BCP策定運⽤指針」が示されています。
そこには、災害等に遭遇して「事業を如何に継続していくのか?」という課題に対して、事業継続計画(BCP)の作成という方策が示されています。

この指針に示されている内容は、「被災後の私たちの“生活”」を検討するうえにおいても参考となる事項が多くあります。
そこで、“生活の継続”という視点で、この指針の内容を検討してみるのも意味のあることと考えます。
(いわば「FCP:Family Continuity Plan」への“試考”といえます)

前号は、「事前対策の具体的な手順」についてでしたが、今回は「事前対策」においての「安否確認」について、考えてみたいと思います。


当ブログ姉妹サイトのBCP記事(下記)より一部を引用します。
<c.f.>『安否確認』

安否確認情報の整理
各社員の連絡手段を事前に把握しておく
--携帯電話等について、個人情報とする人もあるかもしれないので、緊急時における会社としての対応基準を定めておく必要がある。
「連絡が取れなかった場合」等についても、検討し周知しておく。


連絡先リスト
取引先リスト等に集約化する
--機密の保持等の必要性により、リストを分ける。
--携行カードに必要連絡先の記入等の有効活用化も考える。
最新化更新(平常時の努力)
--業務において活用すると、日常的に更新ができることになる。

安否確認手段の複数化
携帯電話等がつながらない場合、他の連絡手段も検討しておく。
--災害伝言サービスの活用等
最終的には、近隣の人が確認に行くということも考えておく
--居住地域のグループ化等が考えられる



安否確認手段は、平常時に備え、複数の通信手段を準備しておくことが必要となりますが、一般的によく利用されているのは「固定電話」「携帯電話」「携帯メール」「PCメール」です。
それ以外の例として、MCA無線や衛星携帯電話の活用等の事例もあります。


※MCA無線
バスやタクシー等でも広く利用されている業務用通信方式の一つ。
混線に強く、無線従事者の資格が不要。


※衛星携帯電話
人工衛星を経由して通信を行う通信方式の一つ。
無線基地局設備が不要で、被災時でも通信可能な手段となる。


被災後の安否確認について、事業場としての検討が示されていますが、FCPとしては主に家族間・親族間等の身近な連絡手段の活用ということになろうと思います。
その身近な連絡手段を複数考えておくということになります。
考えられるのが「固定電話」「携帯電話」「携帯メール」「PCメール」「伝言サービス」等々です。
また、連絡が取れなかった場合のことも想定して、集合場所等についても話し合っておく必要があります。

「もし災害が起きたらどうするか」という家族間での話し合いから始まります。
「避難時の行動」と関連させて連絡方法を検討しておく必要があります。
例えば、
「子供は、学校で待機する(学校の指示に従う)」
「集合場所は①--②--③--」という具合に--
そして、連絡が取れない家族等の安否確認が必要となります。
連絡がとれない!
--電話が使えない等は想像以上に深刻な事態です--

ここで参考となるのが被災経験者のアドバイスです。
from『地震イツモノート』
◇どこに逃げたかを書いておく
 ・油性マジックによる書き置き伝言
 ・目に付くところに貼っておく
◇小銭は必要
 ・公衆電話は100円は使えない?
  (公衆電話は最近は少なくなりましたが--)
◇家族のルールを決めておく
 ・家族がそこに来ればわかるという場所を決めておく。
  (その時は来れなくても、数日経っても分かる場所を決めておく)

【伝言用ダイヤル 171】

地震や大雨などの災害発生時には、特定の地域への電話連絡の殺到が予測されます。
災害用伝言ダイヤルは、被災地への電話が掛かりにくい状態になった時、被災地内の家族、親戚、知人などと安否の確認や緊急連絡を取るためのサービスで、メッセージは、全国どこからでも録音・再生可能です。
公衆電話はもちろん、ダイヤル回線、携帯電話からも利用できる声の伝言板です。

NTT西日本の説明リーフレット

【SNSの活用】

<LINE>
LINE災害連絡サービス
LINEでつながっている家族や友だちと災害時の連絡がとれます。
大規模災害時に自動的に送られる通知の中の[①被害があります②無事です③被災地域にいません]から選択すると、LINEのタイムラインに自分の状況が投稿されます。

<フェイスブック>
災害支援ハブ
災害が起きたときに、その地域に住んでいる友人の安全を確認したり、自分が被災地域にいる場合は安否を知らせたりできます。
また、被災地に支援物資を送る手続きや、逆に被災地が支援物資の要求をすることもできます。

<ツイッター>
ハッシュタグ「#救助」
緊急救助を求める場合に、「#救助」のハッシュタグとともに要請内容、写真、住所または位置情報など、具体的かつ正確な情報をツイートします。
救助が完了したら、報告ツイートするとともに、救助要請ツイートを削除して下さい。

LINE、ファイスブックでは、家族、職場、友だちなどでグループを作っておくことで、災害発生時、自分の安否をグループ全員に知らせることができます。

以上「FMTOKUSIMA防災ハンドブック2019版」

<付記>
浸水について 『防災・減災マップ』の見直し!
津波、高潮、台風時の浸水について、洪水ハザードマップが更新されています。
最近の災害の大型化をもとに、浸水の深さがより大きくなっています!

また地方議会での洪水予想議論も活発です
「河川が氾濫し、堤防決壊の場合、どの位の時間で被害が発生するのか?」
「歩ける高さ(50cm)まで水が引く時間は?」
「排水ポンプが浸水した場合は? 発電機の位置は?」
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レジリエンス『先ずは生き延びることへの柔軟対応』

★『釜石の軌跡 三原則』
 --鵜住居小学校の避難例
①想定にとらわれるな
②最善を尽くせ
③率先し、避難せよ

★『想定外に備える』
 --南三陸町立戸倉小学校元校長 麻生川敦氏講演より
  (東日本大震災時、子供たちの避難指揮をとった震災当時の校長)
①想定外が起こり得る覚悟をもつ。
②想定外の判断を行う目を持つ。
③臨機応変に対応する力を上げる。