災害等において、「(自分も含めて)関係する人たちの命が救われること、及び負傷をしないこと」は最優先事項ですが、事前対策として「被災後の生活」についても検討をしておく必要があります。
各事業場においては、災害時のリスクマネジメントとして、中小企業庁から「中⼩企業BCP策定運⽤指針」が示されています。
そこには、災害等に遭遇して「事業を如何に継続していくのか?」という課題に対して、事業継続計画(BCP)の作成という方策が示されています。
この指針に示されている内容は、「災害への対応」「被災後の私たちの生活」を検討するうえにおいても参考となる事項が多くあります。
そこで、“生活の継続” という視点で、この指針の内容を検討してみるのも意味のあることと考えます。
(いわば「FCP:Family Continuity Plan」への“試考”といえます)
前号は、「事前対策」における「安否確認」についてでした。
またBCPにおいては、業務継続のための「要員確保」という項目がありますが、FCPにおいてはスキップします。
そして、「顧客サイド・外注業者等との連絡確保」についても、FCPにおいては安否確認に含まれると考えられます。
今回は、事前対策の重点項目のひとつである「建築物の耐震性」に移ることにします。
当ブログ姉妹サイトのBCP記事(下記)より一部を引用します。
<c.f.> 『建築物の被災についての事前検討』
建築物の耐震性
設計事務所・建築会社への事前確認
必要対策の実施
--耐震・耐火等の防災対策の充実
--天井の落下防止対策等耐震対策の充実
火災時の対応検討
避難経路 等
日常の火災対応の一環として実施
その他浸水の可能性等のリスク確認
ハザードマップ等の活用
必要対策の実施
※設備管理・施設管理の一環として(関係部署等の協力を得て)詰めておくべき事項です。
参考とさせていただいている阪神淡路大震災の教訓「地震イツモノート」に
『建物が倒壊したらどんな防災グッズも役に立ちません』とあります。
まさにそのとおりで、いかなる防災準備も、被災の居場所が崩壊したら、次の活動がとれなくなります。
先ずは住まいの耐震性について目を向ける必要があります。
その耐震性の判断基準として、「完璧に耐えられないとしても、倒壊せずに脱出が可能な家」と示されています。
この家屋の耐震性が、事前対策の大前提となります。
家屋の中に「耐震シェルター」「耐震ベッド」の設置を考えておくという手法も示されています。
また、『揺れた瞬間や直後は、普段考えていたことや想像していたことが即実行できるとは限りません!』と書かれています。
つまりその瞬間には、「今までの自分の対応してきたこと」に身を任せるしかありません。
それまでの活動の因果を受けるという現実に直面するわけです。
1981(昭和56年)
自分が住んでいる建物の地震に対する安全性のチェックの目安である耐震基準が設定されています。
*「震度6以上の地震では、建物に被害があっても倒壊・崩壊せず、人命に危害を及ぼさない」
*「震度6弱までの地震では、建物に大きな被害が生じないこと」
また、耐震診断・耐震改修の公的支援として、自治体により
「2000年5月31日以前に建築された木造建築物を対象とする」というような基準もあるようです。
なお、建物の耐震性についての詳細は下記が参考となります。
詳しく説明されています。
日本建築防災協会対策支援ポータルサイト
--「誰にでもできる我が家の耐震診断」というページも用意されています。
<参考>
浸水について 『防災・減災マップ』の見直し!
津波、高潮、台風時の浸水について、洪水ハザードマップが更新されています。
最近の災害の大型化をもとに、浸水の深さがより大きくなっています!
また地方議会での洪水予想議論も活発です
「河川が氾濫し、堤防決壊の場合、どの位の時間で被害が発生するのか?」
「歩ける高さ(50cm)まで水が引く時間は?」
「排水ポンプが浸水した場合は? 発電機の位置は?」
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レジリエンス『先ずは生き延びることへの柔軟対応』
★『釜石の軌跡 三原則』
--鵜住居小学校の避難例
①想定にとらわれるな
②最善を尽くせ
③率先し、避難せよ
★『想定外に備える』
--南三陸町立戸倉小学校元校長 麻生川敦氏講演より
(東日本大震災時、子供たちの避難指揮をとった震災当時の校長)
①想定外が起こり得る覚悟をもつ。
②想定外の判断を行う目を持つ。
③臨機応変に対応する力を上げる。
(この拙いブログは、まだ災害について十分な実感を持てない筆者自身への「災害意識の駆り立て」でもあり、また「なかなか災害行動へと結びつかない焦り」でもありますが、何か皆様のFCPを考えるうえでのきっかけともなれば幸いに存じます。)