−−雑誌「安全と健康2000年12⽉」平成11年12⽉20⽇東京地裁判決:コメントより−−
☆「汚⽔槽の清掃作業」における「安全配慮義務」について
この事例は、事業場Aが汚⽔槽の清掃作業を設備⼯事会社Bに発注し、B社が清掃業者Cに請け負わせたという関係において発⽣しました。
そして、C社の従業員Dが清掃作業中に死亡しました。
Dの死因は酸⽋による公算が⼤きいと調査の過程で判明しましたが、Dの遺族はDの死亡はテトラクロロエチレンか塩素ガスによるものだとして、A社とB社に対し損害賠償を請求したというケースです。
遺族の主張がテトラクロロエチレン⼜は塩素によるものであることを前提としている以上、その主張の理由が間違いであったということであり、遺族側の請求は棄却されました。
もし、Dの所属するC社の安全配慮義務違反について請求されていたとしたらその展開は変わっていただろうということです。
本件で災害が発⽣した汚⽔槽は、労働安全衛⽣法施⾏令別表第6第9号による「酸素⽋乏危険場所」に当たると考えられます。
酸素⽋乏危険場所における作業については、作業主任者の選任や作業環境測定の実施の他、酸素濃度の測定や空気呼吸器等保護具の配備・着⽤指⽰、特別教育の実施、監視⼈の配置、必要な場合の退避措置などが事業者に義務づけられています。
このケースにおいてこの義務を負うのはDの使⽤者であるC社であると考えられます。
“⽔槽清掃”という⽇常の維持管理業務に関連する事例です。
請負業務に当たる者は認識しておかなければならない内容であります。