「工学的な対策」以降のリスク低減対策は一般的に下記のよう示されています。
〔安全対策の要件〕
安全対策を立てるには、以下の4つの要件を満たす必要があります。
- 危険源を明確に認識すること
災害防上の技術的対策の対象を明確にするためには、危険源が具体的に認識されていることが必要である。 - その危険源を回避する方法がわかっていること
危険源が明確になってもそれを回避する方法がわからなければ危険源を回避することはできない。 - 危険源回避のシステムを実現する手段があるか、または作れること
危険源回避の具体的手段がすでに存在するか、または作ることが技術的に可能でなければならない。 - 危険源回避のシステムが正常に機能していることの確認ができること
危険源回避システムが故障などの異常を生じる可能性もあり、危険源回避システムが正常であること確認する手段を備えることが必要である。
危険源回避システムの正常性が確認できない場合には、必ず、機械の危険な機能を自動的に停止するシステム構成にしなければならない。
〔リスク低減対策の考え方〕
以上の4つの要件を踏まえ、リスク低減対策は、以下の手順で検討します。
1.危険源を明確にすること。
装置又は作業の、どこに、どのような危険源が存在するかを、作業者及びその作業に関わる可能性のある全ての労働者が認識している必要があります。
2.危険源の回避手段(対策)を講じる。
対策は、設備の改善を第一に、次に作業方法の改善の順で検討します。
- 設備の改善
危険源の回避の基本は、危険源と労働者の隔離です。
これには、空間分離と時間分離があります。
空間分離は、柵、カバー等により、労働者の身体が危険域に入ることを防止するものです。 - 作業方法の改善
危険を回避できる安全作業手順の作成、作業の標準化、マニュアルの整備を行います。
さらに、正しい作業方法を作業者に教育することが必要です。
一般に、作業方法の改善だけでは十分な安全を確保することは困難です。
あくまでも設備改善が第一であり、作業方法の改善は次善の策と認識する必要があります。
3.安全衛生対策の確認(安全衛生確認)
以下の事項を実施し、安全衛生対策が正常に機能していることを確認します。
- 設備(危険源)及び安全衛生対策の日常点検
- 管理監督者による定期的な点検
- 職場巡視(安全管理者、衛生管理者、産業医等)及び安全バトロール(安全衛生委員会、安全衛生管理担当者、労働者)
〔対策を定着させるための文章化〕
以上のように、対策の樹立は、「人に左右されない」設備面での対策を第一に考えますが、同時に、「人による」対応(正しい作業手順、保護具の着用等)の推進も不可欠となります。
「人による安全衛生対応」を定着させるためには、まずそれを文章化することが必要となります。
そして、安全衛生規程を定期的に見直すことにより、リスクアセスメントを深化させていきます。
(PDCAサイクルの形成)