維持管理業務においても、下記のような損害賠償責任について検討を加えておく必要があると考えます。
<製造物責任について>
製品の⽋陥によって、その消費者となる第三者が、体の障害または財物の損壊を被った場合、その製品の製造・販売に関与した事業者が、被害者に対して法律上の損害賠償責任を負うことになる。
これが PL(Product Liability =製造物責任)といわれるものです。
製造物責任法(PL法)は、商品等製造物の事故による消費者の被害(⼈⾝事故、物的経済的損失)に対するメーカーの責任を定めた法律であり、1995年7⽉1⽇から施⾏されています。
製造物に関する事故等において、それまで適⽤されていた⺠法709条の「故意・過失」責任における「過失」の⽴証⽅法が変わりました。
つまり、⺠法709条においては “過失や因果関係の⽴証が消費者に課されていた” のが、PL法の制定により “被害を被った消費者はその対象となった製品の⽋陥を何らかの形で⽴証できれば” メーカーの責任を問えることとなりました。
不動産⾃体はPL法の対象外ですが、付帯する建築設備は動産であり、PL法の対象となるとのことです。
PL法第2条3項1号では、責任主体を「製造、加⼯⼜は輸⼊した者」としいます。
つまり、建築設備による事故等が発⽣した場合、製造物責任の問題が出てくるということになります。
<損害賠償責任について>
⺠法上の賠償責任(不法⾏為責任・債務不履⾏責任)も当然に存在しています。
「製造・販売事業者」だけでなく、「建設⼯事業」の⼯事ミスなど、仕事の結果に起因する対⼈・対物事故があります。
維持管理契約においても、⽂書としてなくとも、契約の業務遂⾏上当然に要求されるであろう維持レベルを逸した管理が⾏われると、債務不履⾏責任が発⽣することも考えられます。
例えば、省エネ管理のレベルが考えられます。
当然に管理すべきことができてなくて、エネルギーロスが⽣じた場合、債務不履⾏責任を問われるというようなケースです。
(その維持レベルについては事前の合意が望まれます。)
以上のようなケースにおいて、保守管理記録の保管が重要なポイントとなります。
「適正なチェック・管理ができているか」ということがクローズアップされてくると思われます。