昇降機は、人または物を乗せ、動力により移動させる昇降装置であり、構造基準、維持管理に関する指針、定期検査報告制度などに基づいて安全性が維持されている。
しかし、構造基準に適合しない無届けのもの、あるいは検査を受けていないなどのいわゆる違反昇降機も存在している。
事故は、荷物用昇降機で多くで発生しているが、乗用エレベーターでの発生もある。
事故原因としては、構造上の欠陥によるものの他、利用者が使用上の注意事項を守らなかったことによる事例も多くある。
乗用エレベーターは、建築物の一部であることから、建築基準法の規定に則り設置される。
事業場等で使用される積載荷重が1t 以上のエレベーターは、労働安全衛生法で「特定機械等」となり、乗用エレベーターにおける昇降機等検査員による定期検査とは別の厚生労働大臣の登録性能検査機関による性能検査が必要となる。
このように、昇降設備は2つの法律で管理されている。
※また労働安全衛生法では、荷物運搬を用途とする規定寸法以下の昇降設備を「簡易リフト」としているが、機種と使用用途によっては建築基準法のエレベーターとして規制される場合もある。
※簡易リフトを乗用エレベーターとして使用するなど、違法設置による労働災害も発生している。
地震による昇降設備の被害例
エレベーターの被害部位は、昇降路の破損、釣り合いおもりの脱レール、ガイドレールの変形、乗降ドア枠の変形など広範囲にわたる。
昇降路の壁の変形、脱落により、かご本体やガードレールの被害に繋がったケースもある。
エスカレーターについては、建築物の振動、変形などに伴い、位置ずれ、トラスの変形、欄干の破損などの被害が生じている。