マンホールの蓋を開けようとして激しい腰痛

<災害事例(業界関係書籍より)>

水槽の点検をするため、マンホールの蓋を開けようとして、手カギを使って持ち上げた瞬間、腰に激痛が起き動けなくなった。
(急性腰痛症、休業13日 男性49歳)

ほとんどの人が経験すると言われる腰痛ですが、このケースも(隙間に土砂等が詰まり締まりきっていた)重い鋳鉄製の蓋を無防備な姿勢で持ち上げようとしたものと思います。

重量物の取扱いは、複数の者で対応するのが原則となっています。
重い蓋を開ける場合は、てこの原理を利用した“蓋開閉用工具”があります。

このケースは、しゃがまないで、上半身だけで不用意に蓋を持ち上げようとしたと思われますが、物を持ち上げる姿勢として次のような手順が示されています。

  1. 膝を曲げる
  2. できるだけ体を持ち上げようとする物に近づけるようにする
  3. 背筋を伸ばして、足を使って持ち上げる

また、持ち上げたときは、体を回したりねじったりしない。
もし体をねじる必要が生じたときは、肩、股関節、下肢が一体となるように、ユックリと動作を行うように注意する。

肩より上に物を持ち上げる際は、体を後に反らせる動作とならないよう、踏み台等を利用する。

一人で運搬する重量物の重量の目安として、「職場における腰痛予防対策指針」では、男性労働者が人力のみで常時取り扱う物の重量は、体重の40%以下となるよう努めることとされています。
体重60kgの場合は、24kg以下ということになります。
女性の場合は男性の約60%とされています。