NHKラジオ「健康ライフ」、群⾺⼤学名誉教授⾼橋久仁⼦さんの話「フードファディズム」5⽇目。
「“健康⾷品”」についての話です。
「“健康⾷品”とは健康への何らかの良い影響を期待して摂取する⾷品」?
⾷事では補えないものを、⾷品で補うというもので、「健康⾷品を適切に利⽤しましょう」とか⾔われるが、では私たちは「どのような栄養素が⾜りていないのか?」「どのような栄養素が過剰なのか?」「どの栄養素が適正か?」というようなことをきちんと分かっているかという問題がある。
この点が不明なまま、何となくこの栄養素が⾜りなさそうであるということで、健康⾷品を使うということは如何なものであるかということ。
「○○によい⾷事」「△△を防ぐ⾷⽣活」と⾔われるが、⾼⾎圧を防ぐ、骨粗しょう症を防ぐ、糖尿病を防ぐというような⾷事があるのではなく、健康維持を考えた⾷⽣活という全体として⾒なければいけない。
まず、適切に⾷べているのかどうかということを考えなければいけない。
⾷⽣活で守れる健康、防げる病気の範囲はとても広いものがあり、そこのところを「⾷⽣活で守ることができるものは守ろう」ということが⼤切である。
ただ、深刻な病気で⾷⽣活が関与しないものもあり、そこのところの限界は知っておかなければならない。
⾷事さえよくしておけば健康万全では決してない。
つまりは、健康⾷品をとらなくても、普通の⾷事である程度は補えている。
健康な⾷事のひとつの指標となるのが、厚⽣労働省の「⽇本⼈の⾷事摂取基準」である。
⾷事摂取基準と書かれているが、実際には⾷事のことは書かれてなく、そこに書かれているエネルギーや栄養素を適切に摂取するための⾷品の組合せによって何通りもの⾷品構成ができることになる。
それを1週間当たりで考えて確認すればよい。
そのうえで、⾷⽣活を全体的に⾒て、野菜の⾷べる量が少ないように感じられる。
特に⼀⼈暮らしの⼈は、野菜が⾜りないというように⾔われるが、そこで野菜ジュースを飲むのではなくて、トマトを1個丸かじりするでもいいし、或いはキャベツをまるごと買っておいて、1枚ずつ剥がして⾷べるでもよい。(⾷べる前によく洗うことが⼤事)
それで必要量の野菜を補うことは難しいことではない。
ということは、普段ある⾷品で必要な栄養素はとれているということ。
それを毎⽇で考えるのではなく、1週間程度の⾷事構成で確認すればよいということ。
健康情報を元に、健康⾷事を目指し、キチキチと考えて、あれが⾜りないこれが少ない、という思考パターンになってしまいがちですが、1週間というようなスパンで考えればよいということのようです。
そして、野菜においても別に健康野菜ジュースを買っておいて毎⽇定期的に飲むというようなことでなくても、⾃分で⾷べられる⾝近な野菜群を⾒定めて、それを⾷べればよい(意識はする必要がありそうですが)ということです。
そのためには、マーケットでそれらの野菜をカゴに⼊れること等の⽇常⽣活での意識付けの必要があるということです。
「⾜りない」「補う必要がある」等々のコマーシャルよりの情報が頭に⼊り込み過ぎている⾯があると感じます。
⾷⽣活における分析的・科学的な視点を与えて頂きました。