地震等の災害が発生すると、電気・水道・ガス等のライフラインの供給停止が高い確率で発生します。
阪神大震災を教訓として書かれた『イツモノート』には
「コンクリートで固められた都会でライフラインが止まるということは、原始よりも不便で不安な状況におかれることを意味します。」
「それまで当然と思っていた価値観や常識とは別の心構えとしてその場に応じた工夫が求められることになります。」
とあります。
一般的には、下記のようなライフライン停止への対応事項が挙げられています。
【水】水道が出なくなる(水の確保)
普段から水を溜めておくこと(避難生活では水は貴重品になる)
- 地震の後、水道が使えるようなら、先ず、ポリタンク、ペットボトル等に水を溜めることを考える。
夏季は冬季より更に水の重要性が増します。
「1人1日3リットルの水を3日分」といわれます。
--1週間生き延びるには1人当たり21リットル必要となります。 - ペットボトルの場合、利用を考慮して500ミリリットルと2リットル両方の容器を用意する。
容器の中に空気が残らないようにし、しっかり栓をしておく。
水は1週間程度で入れ替える。
--浄水器を通した水は塩素による消毒効果を期待できないので毎日交換が必要。 - 保存した水を飲用するときは、その前に煮沸する。
- 氷としての貯蔵、常時ヤカンにいっぱい水を入れておく等もあり
- 飲用とそれ以外の使用に区別
- 近くの水のある場所は?
風呂に溜めた水は雑用として活用できる - 水を運ぶ容器が必要になる
(例:ビニル袋を活用して容器にする)
【電気】停電が発生する
- 明かりがなくなる
懐中電灯・履物は手近に
(暗闇のなかの明かりは心の安定になる)
食事の時ぐらいはロウソクで十分
(弱い光でも十分可能ということ) - いつもの情報がなくなる
携帯ラジオ、車のラジオは強い味方になる
(何時も情報を得ているテレビ、インターネットは使えなくなる) - 人間社会の基本は口コミ
口コミ・デマも多くなるが、コミュニティが情報源となる - 電池の補充には気を配る
年4回程度使用可かどうか確認する
災害避難時は、再送電時の屋内漏電等の事故を防ぐため、屋内受電盤のブレーカーを「切」にしておく。
ブレーカーの「入」は、コンセント負荷を確認して(すべて抜いて)の後にする。
--屋内配線の漏電、使用電気機器の使用状況に注意すること。
地震による火災の過半数は電気が原因という事実。
東日本大震災における本震による火災全111件のうち、原因が特定されたものが108件。
そのうち過半数が電気関係の出火。
(地震が引き起こす電気火災とは、地震の揺れに伴う電気機器からの出火や、停電が復旧したときに発生する火災のこと。)
電気火災対策には、感震ブレーカーが効果的。
「感震ブレーカー」は、地震発生時に設定値以上の揺れを感知したときに、ブレーカーやコンセントなどの電気を自動的に止める器具。
感震ブレーカーの設置は、不在時やブレーカーを切って避難する余裕がない場合に電気火災を防止する有効な手段となる。
「分電盤タイプ(内蔵型)」「分電盤タイプ(後付型)」「コンセントタイプ」「簡易タイプ」がある。
切れた電線や、電線が樹木/看板/アンテナ等に接触しているときは、電力会社の対応を待ち、(漏電を考えて)周囲のものに触らないようにする。
【ガス】ガスが使えない
- カセット式のガスコンロで代用可能
←ボンベは10本ほど備蓄しておくと安心
(定期的にサビの発生等に注意しておく) - 知らずにガスが充満しているかもしれません。
不用意に火を使わないことは基本中の基本
←辺りが暗いのでとっさにライターをつけようとした!
(ガス漏れ被害は多くの事例があります) - 消火器の常備もイロハのイ。
←初期消火に失敗すると燃え広がる!
(地震→火災の拡大という被害の構図があります。特に人口過密地域においては被害が拡大する。) - ブレーカーをすぐに落とす
←(漏電による火災の発生防止のために)ブレーカーが切られているか確認できるまで送電しない!
特に集合住宅のような場合は、すべてのブレーカーのOFFを確認するまで電気を送れない事態となる! <c.f.>上記「停電対応」
都市ガスは空気よりも軽く、プロパンガスは重い。
ガス漏れ時、ガスの排除する際、ガスが天井を這うか、床面を這うか認識しておく必要がある。
漏れたガスは団扇等であおいで外へ出すことになるが、着火源となるものには十分に注意し、慎重に行う必要がある。
電気関係のスイッチのOn・Offや、コンセントの抜き差しでの火花が着火源となり得るので、触らないように注意!
プロパンガスのマイコンメーター
マイコンメーターには、ガスの流れや圧力等に異常が発生した場合や震度5以上の地震が発生した時、内蔵されたコンピューターが危険と判断し、ガスを止めたり警告を表示する機能がついている。
メーターの表示ランプ等で状況を確認できるようになっているが、復帰には上記注意が必要。
グラピタホース
プロパンガスの場合、地震等で容器転倒時、ガスホースが引っ張られると、ホース内の安全機能が作動し、自動的にガスが止まる機能(設置業者に確認必要)
日常当たり前に、スイッチを入れれば電気機器は機能するし、栓をひねれば水は出る、ボタンを押せばガスが使えます。
しかし電気・水・ガス等のライフラインが停止しますと、当たり前の日常が一瞬のうちに消え、不自由の状態が到来することになります。
現代生活に慣れていると耐えられない状態です。
まさに「原始よりも不安な状況におかれる」ことになります。
数年前、配電線事故で電気が使えなくなった時、手持ち無沙汰で何もできず、自宅周りをグルグル回って工事車の来るのを待っていたことを思い出します。
(のんびりと、寝そべるということができませんでした!)
災害時のライフライン停止は、このような一時的な停電の比ではないと思います。
生命の維持という緊急事態です!
(私にはその耐性ができているか? 不安です)
日頃から心がけておきたい(リアルにイメージ化しておきたい)緊急事態です。
なお、ライフラインの復旧目安として、下記のような日数事例が挙げられています。